劇場公開日 2018年9月14日

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「追って追われて狩られて狩って、四つ巴の大乱戦!」ザ・プレデター 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5追って追われて狩られて狩って、四つ巴の大乱戦!

2018年9月17日
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鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

興奮

前作『プレデターズ』から8年、『プレデター2』から数えると28年ぶりの新作が登場!
予告編を観た時は『少年が呼び寄せた』とか人間に捕獲されたりとか、なんかヌルい感じの
プレデターになっていないかと心配してたが、ノンノン、しっかりパワフル&ハードコアでした。

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物語は、プレデターの宇宙船がとある事情で地球へ不時着する場面からスタート。
船の不時着に偶然巻き込まれた特殊部隊員マッケナは“ラッキーパンチ”でプレデターの装備を奪って
逃亡に成功。政府機関に消されない為の保険として、入手したプレデターの装備を自宅に送る。
だがマッケナの息子が誤って装備を起動させた為に、不時着船のプレデターが装備の追跡を開始。
マッケナの息子そしてプレデターの装備を巡り……
1.主人公マッケナとその仲間となるならず者部隊、
2.プレデターの生態を長年研究している政府機関、
3.ある目的の為に逃亡を図る不時着船のプレデター、そして、
4.不時着船のプレデターを追うもう1人の謎のプレデター
……による、四つ巴の大混戦が繰り広げられる。

今回は単なるスケールアップではなく、先読み困難なヒネったプロットが展開される点が面白い。
狩るもの狩られるものがクルクルと入れ替わり、同時にプレデター種族の目的を巡るサスペンスも描く。
これまでのシリーズの描写を汲み取った上で新たな解釈が加えられている点も見所だ。

また、今回は新型プレデターが登場するが、従来型プレデターも弱っちいなんてことは全然無く、
裸一貫でザッパザッパと暴れ回るシーンは圧巻だし、お馴染みの兵器はもちろん新兵器も登場。
なんだかんだ被害者数でいけば今回が一番暴れてるんじゃなかろうか……。
あ、そうそう、過去作の名台詞をヒネって使ったり、どこかで見たようなキャラが出たり
(絶対親戚だよねあの人)、旧作を知ってる方ならニヤリの小ネタも満載でした。

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そして今回の目玉、新型プレデター!
前作『プレデターズ』では1・2とデザインの異なる別種族が従来型プレデターを
捕縛するシーンがあり、熱心なプレデターファンには不評の方も多いようなのだが、
今回登場する新プレデターは、元のデザインは踏襲したままに大幅アップグレード!
体長3.3m、マスク不要、外骨格鎧というウルトラハイスペックプレデターである。
コイツがどういう素性のヤツかは見てのお楽しみとして、まあとにかく並のプレデターでは
全く太刀打ちできないし、ましてや人間相手ではお人形遊びのように投げ散らかし放題。
こんなプレデター界のシュワルツェネッガーみたいなヤツ(ややこしい)に、並の人間が勝てるのか?

だが主人公も息子の命がかかっているのでそこは死に物狂い。
『イカれたスペックの敵にはイカれた連中をぶつけろ』と言わんばかりに、護送バスで
乗り合わせたアブない凄腕軍人たち+男勝りな女性生物学者と共に立ち向かう。
この軍人たちが揃いも揃ってクセ者で笑えるのだが、イカれていても仲間の為に命を張る気概が熱い。
生物学者さんも、荒くれ男やプレデター相手に一歩も引かない豪胆さが気持ち良い(けど犬には優しい)。

この映画の主人公たちは、心にトラブルを抱えた連中ばかり。だけど、主人公の息子や仲間たちのように、
世間から“イカれてる”と後ろ指を差されるような人間にだって熱い心はあるし、とんでもない才能を
秘めていることだってある。そんな彼等が一致団結して、桁違いの相手に立ち向かう物語でもある。

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という訳で、最後の最後まで物語がどう展開するのか読めず、かなーり楽しめたのだが……不満点も。

プレデター種族の生態の掘り下げという点自体は良いのだが、あの最終目的とか最後のアレについては……
壮大ではあるんだけどね、何だかちょっと俗っぽい展開になりつつあるなあと感じてしまった。
プレデターに限らずこういうクリーチャーは、どこかミステリアスな部分が残ってるからこそ魅力的だと
思うのだけど、今回は割と突っ込んだ所まで設定を固めてしまい、彼らの神秘性が薄れてしまった気が。
この路線でシリーズをたたみに掛けてるのかしらと思うと、続編を匂わせるラストにもやや不安を覚えた。

あとは『初めて見た装置をそんな簡単に使いこなせる?』とか『ちょっと都合良すぎじゃ……』とか思う
シーンもちらほらあるので気になったが……まあエンタメ映画だし個人的にはギリギリ許容範囲かしらん。

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総合的には、敵も味方もくんずほぐれつの大乱闘!で
やっぱ楽しかったです、はい。大満足の4.0判定で。

<2018.09.15鑑賞>
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余談:
『ザ・プレデター』とタイトルで堂々と掲げていながら「獲物を食わないなら“プレデター(捕食者)”
じゃなくて“スポーツハンター”やん」「わかるー」という茶々が劇中で2回くらい入るのはご愛敬。
“プレデター”の方がカッコいいからいいんだよッ!

浮遊きびなご