「戦争の悲惨さをもっと実感出来る描写が欲しい」劇場版 幼女戦記 よしさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争の悲惨さをもっと実感出来る描写が欲しい
異世界で幼女に転生したサラリーマンが、大戦最中の某国で将校として活躍する物語。
TV版の続編劇場版です。友人に勧められて、TV版と続けて鑑賞。
日本人が大好き(?)な異世界転生物と、架空戦記を合わせた設定が秀逸に感じます。
敗戦国のコンプレックスを現した日本を舞台にした物語と違い、ヨーロッパ(のような国)を舞台にしたことも個人的には好みです。
幼女を主人公にした理由は分かりませんが、結果として戦争の悲惨さ等を描きながら、ハードになり過ぎないように出来たのは良かったと思います。
さて、映画としては、映像の精緻さ、戦闘シーンの迫力は流石に劇場版のクォリティ。
主人公ターニャを仇と狙うメアリーの表情等も、「人間の業」をしっかりと描いていて、私好みでした。
ただ、メアリーについては、少し納得感がないとも感じます。
ターニャが言うように、戦争に復讐云々を言い出すのは、不合理と感じます。ターニャが父の形見の短機関銃を使用していたにせよ、復讐の為に志願兵になり、憎悪に身を焦がすには、少々描写が足りないように思えます。
例えば、志願しながらも、戦争に加わることを悩んでいたメアリーが、形見の銃を観て憎悪を制御出来なくなった・・・とかならどうでしょう。彼女の感情の起伏の大きさが、物語を大きく盛り上げるように思います。
もう一つ納得感がないのが、第二〇三魔導大隊に戦死描写がないこと。映画全体として戦争をシビアに描いていますし、戦争の悲惨さを映す描写もふんだんにあります。しかし、主人公の身近な人々の「死」が描かれておらず、どうしてもゲーム感覚に見えてしまいます。大隊からも多くの戦死者が出ていれば、より臨場感あふれる感情を得られたように思います。
まだ物語は続いているようですから、それらの不満の解消は「乞うご期待」と言ったところでしょうか。