劇場公開日 2018年9月28日

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「面白いか面白くないか以前の問題」クワイエット・プレイス サルゴリラさんの映画レビュー(感想・評価)

面白いか面白くないか以前の問題

2025年2月12日
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この映画を面白いと思っている人は、きっとこの映画に登場する親子くらいの知能しかないのだと思う。と、評するのはもちろん根拠あってのことだ。
理由はタイトルにある通り、面白いか面白くないか以前の問題で、そもそもおかしいのだ。
沢山ある中で一つだけ抜粋するなら、それは赤ちゃんだ。ご存知の通りこの作品は音を出してはならない。なぜなら化け物に殺されるから。作中では砂利道に砂のようなものを巻いてその上を歩き、極力音が出ないようにし、会話は基本囁き声。この徹底ぶりの中で、果たして子供を作るだろうか? 家族というテーマ対して、赤ちゃんを持ってくるのはいいだろう。しかし世界が世界だ。赤ちゃんなんて1番声を出すに決まっている。産声という言葉があるくらいだ。まして、主人公たち家族は、1度怪物によって幼い子供を失っている。それなのに、2人の子供を危険に晒してまで新たな子供を作るだろうか? これを家族愛だと呼ぶのなら、実に面白いZ級コメディ映画だな。まだしも、赤ちゃんが泣いても化け物に襲われない準備をしていたならば良い。しかしもちろんそんなことはなく。作中登場した滝の裏では普通に会話し、あるいは大声で叫んでも化け物に襲われなかったというのになぜそこに行かない。バカなのか。
上述したようなおかしな要素は他にもある。しかし全てをあげようとなると、それはレビューというより悪口大会になってしまいかねないのでやめておこう。
悪い点ばかりをあげるとレビューにならないので、いい点をあげよう。それは“この世には面白いか面白くないか以前に、破綻した内容の映画もある”ということを教えてくれることだ。ここまで分かりやすくおかしいのは、もはや教科書といって過言ではない。成功はアート、失敗はサイエンスという言葉がある通り、失敗には法則性がちゃんとある。作品を作る人は、これを反面教師にして素晴らしい作品を作っていただきたい。なおこうして酷評をするのは、別に悪口が好きという訳ではなく。残念なことにこのようなことでしか評価すべきポイントがないのだ。むしろ反面教師としての役割を見いだせたことに、一種の誇らしさを覚えるほどである。

サルゴリラ