劇場公開日 2018年9月28日

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「オリジナリティある!」クワイエット・プレイス タミヤ・ユウさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5オリジナリティある!

2018年10月28日
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―音をたててはいけない―

王道のホラー映画でありながら、このコンセプトの斬新さに最初はただ驚かされました!

得体の知れない"そいつら"によって荒廃した世界が舞台なのでSFチックで壮大な話だと思いがちですが、その世界を生き抜いてる「ある家族」の話なので比較的小さい規模で内容が進んでいきます。

普通に怖かったです(笑)
ネットでは賛否両論ですが、僕は割りとしっかりと怖いホラー映画になっていたと思います。

音をたててしまうと、モンスターみたいな"そいつら"が襲って人間や動物を殺してしまうという設定なので、この映画では「決して音をたててはいけない」という制約があります。
それがこの映画で一番緊張感を高めている重要な要素で、それが生かされていて良かったです!

その「音をたててはいけない」制約の中で、音をたててしまった時の緊張感が凄く伝わってきました((( ;゚Д゚)))

音をたてた瞬間いつ"そいつら"が襲ってくるかわからないですからねぇ...
その「怖さ」自体を成し遂げていたので、それだけで成功作だったと思います。

また、"そいつら"はCGだったのですが、かなりリアルです。
顔を露にした時の不気味さや気持ち悪さも出ています!
もはや「エイリアン」かと思いました(笑)
効果音のリアルさも相まって、より「襲ってきてほしくない」気持ちが伝わってきて、それもみどころでした。

主演のエミリー・ブラントの演技も絶望感等が伝わって良かったです!
それと同じく家族間の絆や信頼感も伝わってきました
耳の不自由な娘と、不器用だけど子供や妻のために行動している父が描かれていてヒューマンドラマ要素として感動も出来ました。

なのでこれだけだったら、もう80点以上は確実だったのですが、自分の中で「う~ん...」という所も多かったです。

まず一番気になったのが、劇中音楽の多さです。
何度も言いますが、「音をたててはいけない」というのがこの映画の最大のテーマです。
それによって出るはずの「静寂な緊張感」を楽しみたかったのですが、音楽がやたらと多く使ってしまったことで、その「静寂な緊張感」が何回か削がれてしまいました。

マーティン・スコセッシが監督したハリウッド版「沈黙」のように殆ど音楽が流れないようにした方が良かった気がします。
それによって「静寂な怖さ」を全面に出ると思うし、自分の中でもっと怖い映画になってたと思うので結構勿体無く感じます。

うーん...何か最近多い気がします、
過剰でミスマッチな音楽で映画をダメにしてしまうことが。
(その最たる例が劇場版コードブルー。そういえばレビューの時書き忘れてました)
何でも音楽を入れるものでも無いと思います!

あと細かい所ではありますが、
恐らく映画を観た方だったら解ると思います。
中盤辺りで父親と息子が「老人男性」に遭遇するのですが、その人が利害関係人出来ない行動をしてしまいます。
まぁ状況が状況だったので、老人男性自身に同情は出来るのですが、それにしても理解に苦しみました。

好きじゃなかった部分も多いですが、全体的に緊張感のある怖いホラー体験が出来ました!
今年はあと中島哲也の「来る」もあるので、ホラー系は期待出来るかも知れないです。

しかし、ホラーは怖いですね(笑)
このジャンルだけはさすがに何回も観れないです(笑)

タミヤ・ユウ