「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ♪」クワイエット・プレイス しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ♪
うーん、久々。
「孤狼の血」から5か月ですか。
相変わらず姫が生活の中心で、おっさんの映画鑑賞はすっかり激減してしまった。鑑賞だけならまだしも、レビューなんて書こうものなら、蹴り倒されるそんな日々のすきを見ての、
「クワイエット・プレイス」
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オープニングから末っ子をブチ殺すように、次は誰が殺られるか、の緊張が走る。ただし、設定はしょせん出オチモノなので、緊張感の持続には限界がある。どうしてもダレる。
そこでどうしたかというと、セリフはもちろん少ないが、のどかな風景に、でもBGMはガンガン、という。そこは、ほれ、BGMも極力減らし、というのが定石なのだが、楽曲が結構よく、ついつい使ってしまった、というのが実情なのかもしれない。
これが、「退屈」と「味わい深い」と「やかましく興を削がれた」の観る側のリテラシーに頼る結果に。
クリーチャーについては、突っ込む人も分からないではないが、いや、分からないか、クリーチャーの設定はそんなに重要ではない。
この映画のクリーチャーは、慎ましく生きる家族に対し、理不尽な外敵、テロ攻撃、庶民の味方にならない政治政策、不況経済、ネットで気に入らないことがあったらすぐ食いつくお前らの圧力そのもの。
庶民はじっと我慢し、言いたいことも言えないのだ。
そんな世の中に耐えながら、小さな喜びを求め、生きがいを感じ、希望を未来につなぐ家族の物語だ。
だから、赤ちゃんを産むのは、当然の欲求であり、義務なのだ。ちゃんと見てれば、用意周到に準備していることも分かる。
ブサイクで、聴覚障害で、性格もめんどくさい長女がイイ。昨今のマイノリティヨイショの臭いにおいが少々鼻につくが、そこは抜かりない、と観るべきか。
というより、父親は、そんな長女でも、それでも、それでも、愛する。そして命を呈して、子を守る。父親はいつだって、そういう役割なのだ。というメッセージが、子を持つおっさんにはとても響く。
追記
劇中、もうろくジジイに、家族の命の危険にさらされる、なんて、ホントこの映画は家族の映画なんだなと、笑った。
追記2
ニール・ヤングの「Harvest Moon」。
20年前に聴いたときはさっぱりだったが、この年になり、こういうシーンで使われると、染みるなあ。