「パパママはつらいよ」マッド・ダディ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
パパママはつらいよ
肝心な所をあまり写さずGoProの如くブレまくるカメラワークと、良いんだか悪いんだから微妙なテンポ、かなり無茶なストーリーに苛立ちつつも、不条理な子供殺し劇は観ていて楽しい。
無条件な愛情があるはずの実の子供に対する純粋な殺意。
側から見ればものすごい違和感だけど、両親達は全くナチュラルにそれを受け入れ、強い意識を持って殺害に挑む姿が面白い。
砂嵐がそのきっかけになっているようだけど、はっきりした原因もその後の顛末も明かされないのが残念だった。
特にその後の世界について非常に気になる。
一定時間を置いたら正気に戻ったりするのだろうか。戻ったところで今まで通り家族としていられるのだろうか…
若い頃夢見ていた理想の人生ではないこと、子供が出来て自分の時間が無くなったこと、若い子供に対する嫉妬、反抗期ビッチな娘への怒り、悪戯っ子クソガキの煩わしさ
中年になったママとパパの、そんな人生と子供達に対するフラストレーションを殺意という究極な形で爆発させ振り回しまくる姿はどこか切なく、深いものも感じてしまう。
どんなに愛しい我が子、家族だとはいえ、本気で腹立たしく思ったり、ほんの少しでも殺意に近い暗く黒い感情を抱くことはあると思う。
そんなことを訴えた最後のニコラス・ケイジの台詞は結構胸に刺さってきた。
私は結婚もしてないし子供もいないし、未だクソガキ側の立場にあるんだけれども…
つくりはかなり荒っぽい感じで、ストーリーにのめり込んで楽しむことはできなかったけど何だか嫌いになれない作品だった。
クラシックカーをダメにした息子と父が話しているシーンで、カットが変わるたびに息子の食べている三色アイスキャンディーの食べ進み方が変わっていたのがとても気になった。