「幸せってなんだろうね…家族との平凡な生活にあるのかな」レプリカズ きらりさんの映画レビュー(感想・評価)
幸せってなんだろうね…家族との平凡な生活にあるのかな
※最初に宣言すると私はキアヌのファンでハートブルー(POINT BREAK)が最も好きです…そして最近の吹替定番の森川智之の声も好きなので英語と日本語2回観る派です。
家族を失った科学者が家族を再生してレプリカを作る話…
なのだが、
クローンを作る時もし失敗して異形になるならば廃棄する勇気はあるのか?と親友同僚科学者に問われた時…観る者としてはハッとさせられるし、怪物ができてしまう話なのかな?とペット・セメタリーを思い出して想像してしまう。
再生させられなかった末娘ゾーイの痕跡を一つ一つ処分する時、キアヌ演じる科学者の苦悩が、繊細なキアヌの気持ちを想像させられる。
しかし、演じるのがキアヌでなかったならば、
やっていることは犯罪満載でハチャメチャだし、近隣の電気自動車のバッテリーを盗みまくって電源を用意したり、友人に遺体の処理任せたり、酷すぎる。狂った科学者そのもの。
外国人は死体は単なるボディで亡くなったあとの臓器提供等躊躇ないらしいよとは聞くが…日本人としては彼の興味が神経データに向かいボディには未練は少なそう。弔いもしないなんて…
遺体処理を友人に頼むがそれに応える友人もどうなのよ…犯罪行為しまくりではないか…
クローン作成に必要な電源を窃盗して確保したのだが…いずれ窃盗で捕まるかも…と予測するのに警察は一度自宅に訪れるもののその後の動きは皆無。今なら、自動車に駐車モニターもあって窃盗の記録も残る時代。自動車の電源とか簡単には取り出せないはずと思うのだけれど。
そもそも人間の発生にも10ヶ月くらいかかるのにわずか17日でクローンが、それも赤ちゃんではなく、ティーンと30代?大人が作れるのか?!
妻や長男長女の神経データを移植する前に旅行の記憶やゾーイの記憶を選択して削除してゾーイ不在の不可思議を消そうとするのだか…そんな簡単に記憶データを取捨選択できるのか?そもそも周囲の人はゾーイの存在を知っているし公的記録もあるだろうに…等ご都合主義満載。
学校にも子どもの欠席を届け出してなかったので先生に家にまで突如訪問されて初めて家族の日常生活の関係者へのフォロー皆無だった事に気付くのだが…なんかそのぶきっちょなところが、まるで不器用に人生を生きるキアヌっぽい。
そして長女の彼氏には(まだ娘の再生完了してない時点なのに)両親いないから家においでという誘いのテキストメッセージに、彼女っぽく返信するのではなく、18歳まで彼氏と二人きりで家で過ごすの禁止と返信するところは、唯一パパの保護欲にクスっと笑うところかと思う。
クローンへのデータ移植は成功しているのにロボットへの神経データ移植が連続失敗し、キアヌは被験体の神経データ(心)が己の姿がロボットであることを受け入れられない拒絶反応だと考えた。解決のために自分の神経データを取り出すのだが、それを不潔なトイレで一人行っている。眼球から脳まで針を刺してデータ取り出すんですよ?!
いやそれは手術室レベルのクリーンな空間で行うものでしょ?と絶句。しかも目をぶち抜き脳に針を刺すのに、一人でやり終えて研究所に戻っているし、まるで目も失明していないみたいだし…ただ目から出血…だけで済ましてる。普通瀕死レベルでは…
なんだかんだ色々ツッコミどころは満載だ。
そして友人同僚が射殺されてしまい、多分脳を撃たれたから神経データ抽出できないのだろうけれど、
本当にいい奴過ぎて犬死にしてしまうのが哀れすぎる。
キアヌの神経データを移行したロボットは強いし家族の為に働く自己犠牲の人だし、心なしか目元がキアヌに見えてくる。
アンドロイドやクローン、死に戻り的ストーリーはほぼほぼアンハッピーエンドになるのが常識なのに
最後にはゾーイまで復活してキアヌ一家はバカンスを過ごしている。一方キアヌクローンアンドロイドはオフィスで富豪の再生医療を行使するブレーンとして働いているので、一生本物キアヌは働かず、アンドロイドキアヌが働くのか?!とあんぐりな展開だ。
なのに、キアヌが幸せになればま、いいか、働いているのもキアヌだし…と、なんか不思議な気持ちになる。
とにかくいろんな不安要素や不都合があるのに、
全てどうにかなってしまう。
マッドサイエンティストでなければ、
普通は事故で家族を失ったら悔み苦しみ弔い
一生苛まれると思う。
彼の家族は再生したもの、それは家族なの?
その行為は家族への愛によるものなの?
自分の幸せの為に必要な愛玩対象を再生した自己満足の欺瞞ではないのか?と思うのに、
記憶や心が同じなら、それは同一人物だと思う自分がいる。
そして、ロボットキアヌの幸せはどこにあるのだろうか…見た目や構造は違っても本人は自己認識としては自分そのものなのに…
これがホラーならば、ロボットキアヌが、本物キアヌを殺戮して恐れる家族と共に暮らそうとするバッドエンドでしょう。それってお決まりの展開。 だからこそ、この結末にビックリした。
ハッピーエンドでキアヌが幸せそうで良かった〜と思ってしまう。キアヌってなんかいつも不幸せそうに見えるので。
但し最後までキアヌをサポートした友人が哀れにも殺されて再生もされないのでひたすら不憫で、
友人の悪行には加担してはならないという教訓よね…
そして幸せになったと思ったけど、単に事故を起こす前の状態に戻っただけ(+文句言わず稼ぐ自分2号−献身的な同僚友人)というなんとなく唖然とはする。
平凡な日常こそがかけがえのない幸せということかな。
ジョン・ウィックなんか妻を亡くし犬を亡くし命を常に狙われ殺戮の毎日なので…アナーザーワールドでキアヌが幸せに暮らす話もあっていいんじゃないかなぁと私は感じてしまいます。
不合理や不都合が多過ぎで3.5ですが、まぁ面白かったです。