「"ドラえもん"みたいな、都合の良すぎるSFスリラー」レプリカズ Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
"ドラえもん"みたいな、都合の良すぎるSFスリラー
キアヌ・リーブス主演による、都合の良すぎるSFスリラー。
研究所に勤めるウィリアム・フォスター(キアヌ・リーブス)は、人間の精神をコンピューターに転送する技術を完成させようとしていた。ところがある日、自動車事故で家族4人を一度に失くしてしまう。そこでウィリアムは自身の研究技術を使って、家族を蘇らせたいと考える。
基本的には、"クローン"+"ロボティクス"+"精神転送"の要素を組み合わせたプロットになっている。
設定考証しているようでいて、至るところでヌケている斬新な作品だ。おそらくハッピーエンドありきで脚本が作られているため、夢のようなご都合主義になってしまったのだろう。
クローン技術は現実に部分実用化されているので、いまさら映画のネタにはなりにくい。そこで本作におけるクローンプロセスは一番おおざっぱで、乱暴な描写になっている。条件の違うクローン人間をいちど3体も作るのが簡単すぎるでしょ。
ロボティクスで再生されるヒト型ロボットは、ウィル・スミス主演の「アイ,ロボット」(2004)のそれにデザインが酷似している。
人間の精神をコンピューターにアップロードする精神転送は、ジョニー・デップの「トランセンデンス」(2014)で使われていた。本作ではそれを人造身体にコピーする画期的な研究である。
また不慮の事故で肉親を亡くした科学者が倫理暴走するのは、東野圭吾原作の「人魚の眠る家」(2018)である。
いろんな作品のいいところ取りで、パッチワークになっている。よく言えば、"ドラえもん"。子供だましのコメディみたいなユルい展開は、前時代的な古いSFである。
(2019/5/19/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/字幕:表示なし)