「綺麗な映画に変身」インサイド MASERATIさんの映画レビュー(感想・評価)
綺麗な映画に変身
鬼畜っぷりを爆発させた「屋敷女」のハリウッドリメイク作品。残虐さ、理不尽さ、理解不能の恐怖等が入り乱れ、過激なスプラッタで度肝を抜かれながらも線を通していた名作、それが「屋敷女」だ。
本作は良い意味でも悪い意味でもハリウッドリメイク作品だった。
良い点は、スプラッタが苦手(特にフランス製スプラッタはトラウマもの)な人にも勧められる作品になっていたこと。アメリカ的解釈で、オリジナル版のハチャメチャ感が無くなり、綺麗な仕上がりの作品になった。どちらが観やすいかと言えば間違いなくこちらの方だろう。
悪い点は、フランス流の恐怖表現、残虐描写などがクリーンにされ過ぎたところ。脳天に雷が落ちたような衝撃度は本作には無い。ラストがハッピーエンドなのもその要因だろう。
作品を通して言えることなのだが、最初は狂気でしかない謎の女が、その行動を起こす理由が判明した時、哀れな一人の女性として感情移入してしまうのが何とも言えないところだ。本作はオリジナル版と異なるラストを迎えるため、よりその感情が強かった気がする。
オリジナル版はやはり人には勧められない作品だと思うが、そんな時はこちらを勧めるのは良いかもしれない。
オリジナル版にハマった人は本作を平凡な作品になったと言うかもしれない。正直私自身も多少はその感覚が拭えないところもある。しかし、主人公と女の迫真の攻防戦だけでも観る価値はあると思う。作品自体がもし自分に合わない時は、女優陣の演技力に注目して欲しい。
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