万引き家族のレビュー・感想・評価
全921件中、701~720件目を表示
万引き家族
虐待の挙句殺してしまう親を止められない社会の陰で、あざだらけになりながら親から離れられない女の子を救い出してあげる優しさに胸が詰まる。
「三世代同居に補助」などと少子化対策の名のもとに、妙な理想家族像の押し付けを皮肉った快作でもある。
血のつながりがない人の集まりは家族ではないのだろうか。しかし頬っぺたをくっ付けたくなるような暖かさを感じるのは、犯罪が悪いとかいう問題以前の生きづらさに対する救いを見せてくれるからで、家族の本質を感じる。
是枝監督オリジナルの映画からルネ・クレマンの「禁じられた遊び」を呼び起こさせるのは、すがるもののない5歳の子が、人の温もりを一瞬でも感じてくれる安堵と、大人の都合に振り回される怒りのようなものが蘇って来たからだ。
是枝裕和の集大成
是枝裕和がこれまで描いてきたことを総動員した、まさに集大成となる大傑作。生きることは食べること、性的な描写にも嘘がない。家制度からドロップアウトした人達(スイミー)が作る擬似家族こそ豊かに映るという皮肉。ラストカット、彼女の視線の先にあるのは希望だと思いたい
語り口が兎に角上品。言葉には言外の意味があり、「傷跡」「数え歌」などの反復描写が「絆とは何か」を雄弁に語っている。役者の演技も素晴らしく、特に安藤サクラの泣き演技には圧倒された(とケイト・ブランシェットが言ってました)。細野晴臣のミニマルな音楽が緊張感を生む。ちゃんと「面白い」作品
是枝裕和はエロスの作家で黒沢清はタナトスの作家なんかな。知らんけど
『万引き家族』は殊更に問題提起をしてみせるような作品ではないことは観れば誰でもわかる。観ればな。是枝監督もインタビューでそう語っている。これはひとりの女の子に向けて語られたミクロな作品。でも観れば誰もに何か響くものがあるはず。観ればな
見えない花火を見上げる姿
人の物を盗んではいけません。
人を騙してはいけません。
人を殺してはいけません。
法治国家において至極あたりまえの理念。
しかし、それらを外れた部分でこそ結び付き合う絆があり、人々がいる。
得てして幸せな姿に見えるが、やはりいつかは破綻していくもの。
見ることの出来ない花火を皆で見上げる姿にそれが象徴しているような気がした。
いかなる理由があるにせよ、大人が万引のやり方を子供に教えるなんて事はあってはならない。
それらがあたりまえの事だと子供たちに思わせてはいけない。
祥太が治の行動に疑問を持ち始める姿を見て、少しほっとした。
真っ当な家族があたりまえに幸せだと、誰もが思える世の中になってほしい、という願いが込められているような作品だと思う。
しかし、メディアで「感動」等の言葉を使って賞賛するような映画では無いような気がする。
賛否が出てあたりまえ。そんなに甘いテーマでは無い。
それにしても安藤サクラはやっぱり良い!
家族の形
パルム・ドール賞受賞作品、「万引き家族」
見る人により感性が変わってくる作品であることが鑑賞してて伺えた。
ここにレビューするのはあくまで私の感性に基づいたモノであると言うことを前提に読んでいただきたい。
万引きとパート。バイト。そして初枝の年金で生計をたてる嘘偽りの家族。
彼らに血の繋がりはない。
しかしながら、彼らは固く脆い絆で家族として繋がっていた。
治(リリー・フランキー)と信代(安藤さくら)は運命共同体として。初枝(樹木希林)と亜紀(松岡茉優)は異祖母と孫として。そして、祥太(城絵史)とりん{じゅり}[ゆり](佐々木みゆ)は義兄妹として。
それぞれが各々で望む繋がりであった。
ざっとここまで大まかな話の流れ。家族の関係性は書いたのでレビューに移ろうと思う。
ここまでの点を踏まえて私が感じたこの映画の伝えたいこととは何か。
それは、家族の絆とは血の絆などではなくどれ程他者に対して自己犠牲出きるかどうかである。
自分を可愛く思うものは結局保身のためにしか動かないし、他者を愛しく思うものは最期まで他者のために動く。
どんなに辛い過去があっても他者を大切に出来るもの。その者は家族を家族たらしめる。
そういった意味では幼き子というのは最も家族を家族として結ぶ者である。そして、幼き子を繋いで母が家族という基盤の土台なる。
これを理解していただける方は少ないだろう。しかし私にはこの言葉以外は浮かばなかった。
私は思う。大人が幼き頃に戻りたいのは家族を家族たらしめる者になりたいからであると。
私は今から母に謝ろうと思う。大人になるにつれ汚れた私をいまだ家族という枠組みに縛り続けてくれることを。
家族の束縛は実に素晴らしいものである。
何かに飢えている、愛情を知らないのか?心にわだかまりがあるのか? ...
何かに飢えている、愛情を知らないのか?心にわだかまりがあるのか?
お互いの溝を埋め合う様に、甘く優しくする事でバランスを保つ。
そんな家族ごっこの、向こう見ずで勢いのある楽しさに期待してはいけない。
血の繋がりに実感を持っていないからこそ、自分の人生に最低限の責任を持って生きていないと、人生を生き抜く事が出来ないだろう、痛切に感じた。
垣間見える少年の向上心に人間の資質を感じ、血の繋がり、環境だけじゃないだろうと強く言いたくなった。
74/
家族の定義とは
血縁だけが家族じゃない。全く同じではないが、自分の境遇一部被る部分もあったので心に沁みた。
子供にとって幸せは何なのか。肉親に恵まれない子供に、幸せを与える事は出来ないのか。だとしたら、親が居ない子供にどうしてやるのが一番幸せなのか。
この一家は日本の鏡像だ。肉親に愛を与えられない子供なんて無数にいる。一部でも心に思う点があるなら、絶対観るべき映画。
この作品はセリフで説明しない、凡ゆる解釈の余地を与え、我々に考える機会を与えてくれる。しかし自分の様に子供との関係を悩み、子を愛する親にとっては、描写の全てが試練の様に全身に叩き付けられる。
とにかく日本中の子供たちには、幸せになって欲しい。
しみじみとエロく切なく
家族の絆とは?
血の繋がりとは?
本当の幸せとは?
色々と考えさせられる内容でした。
リンちゃんの将来が心配で心配で……
とりあえず腹が減ったので、カップラーメンにコロッケを浸して食べたいと思います(笑)
もやもやもやもやもやもや
え、まさかここで終わる!?と
映画館にいた人、何人が思ったことでしょう。
もちろん私もそのひとり。
お話の途中で、映画は幕を閉じました。
最後までこの家族の繋がりが
詳しくわかりませんでした(笑)
それは私の理解力のなさなのかそれとも
曖昧にさせおくという監督の意図なのか。。
万引き家族をみてとにかく言えること、それは
役者ひとりひとりが凄かった
その一言に尽きます。笑
セリフによってなにかを訴えるようなことではなく
ひとつひとつの演技から
それに秘められた想いがそれとなく伝わってくるんです。
ショウタが大きくなるにつれて
万引きや犯罪に対しての罪悪感そして
お父さん(おじさん)への不信感のようなものも
少しずつ芽生えていき
それをきっかけに万引き家族の生活は終わりました。
ショウタが警察に保護されたとき
本当にショウタを置いて逃げようとしたのかなぁ
たくさんのモヤモヤが残る映画でした。
むしろモヤモヤしか残らない、、(笑)
いろんな解釈ができる作品でした。
映画の中だけの世界ではなく、日常に転がっている世界。
観た後は、魚の骨が喉に刺さって抜けないような感覚に陥った。しばらくは抜けなそうです。
でも、これはいわゆる映画の中でしかあり得ない様な世界ではなく、私たちの日常のどこにでも転がっているような世界だという事は、言わずもがな分かる事でしょう。
家族の年金を頼りに生きている為に、延命治療を続けてほぼ植物状態になっていても経管栄養で生きさせる。会話も出来ない状態の人に会いに来る家族は居ない。でも何故生きさせるか、それは治療費よりも高い年金が入ってくるから。そんな血の繋がった家族はたくさんいます。
生活保護を受給しながら朝からパチンコ屋に通い、仕事もしないのに衣食住に困らない人。受給を受ける為にわざと事故って怪我をするなど、不正受給を繰り返す人々も実際どのくらいの数がいるのかは把握さえしきれない。
虐待を受け亡くなる子供の数、年間50件以上。1週間に1人以上。そして、この映画のタイトルにもある『万引き』万引き被害額 日本は世界で2位。万引き被害額 4500億円以上。
これが日本の現実。。
この世界が無くなることはあるのでしょうか。
ひとりひとりの持ち味がすごい
キャストが豪華で、それぞれの演技力がすごい。
松岡茉優の体はった演技は第2の蒼井優を感じました。
ストーリーとしては余韻を残しながら終わるので、今後どうなったのかが気になるところ。
ただ、そこまで騒ぐほどの作品かどうかは、好みによるかな?
思考を持たないその日暮らしの人々
近年はこんな感じの家族がいるんだろーな、そのままを、大したストーリー展開なく、エピソードの回収もなく、深い理由も意味も示さないままダラダラ始まり終わる。登場人物が全員ほぼ何も考えてないので悲壮感がなく幸せそうなのは観ていて楽だったけど、観たからと言って特別な感想がない映画。役者さんはとても良いと思います。リリーフランキー、悪くはないけど、リリーフランキーじゃない方が個人的にはいいような気がする。
監督の前作も個人的には全くダメだったので全然期待せずハードルが低かったので普通に鑑賞しましたが、「賞を獲った!」と思って観に行くと「え~!?」ってなるだろうな。そんなわけで☆を減らしました。
もしかしたらいるかも知れない家族
他人でありながら、それぞれ事情があって繋がった家族は実際に実在するかも知れない。
せつなさと焦りとやるせなさが混ざった酸っぱいような映画だった。
妹を庇いこのままではいけないと感じたように思えた仮想の兄の思いが重かった。
この後のそれぞれを想像するとしあわせがわからなくなる。
内緒・嘘で固めた連中が、傷を舐め合いながら生きている表面的な絆
まず、カンヌの評価ですが、
市場規模では到底かなわない米国ハリウッドを意識して
「制作費用は安くても、ちょっと変わった作品」
を選定・評価した気がしました。
また、出品回数などの「カンヌ貢献度」を考慮しているのでしょう。
次に、日本での公開以来、「映画レビュー」の高得点!
全く、日本人は、「権威」に弱い!
さて、今回のテーマの、
「生みの親」より「育ての親」が重要、
「血縁関係」よりも「心の絆」が重要、
というテーマの作品は、これまでも、数多くありました。
また、今回は、「5歳児虐待死事件」がありましたので、
より考えさせられます。
しかしながら、私には、
「内緒・嘘で固めた連中が、傷を舐め合いながら生きている表面的な絆」
としか見えませんでした。
子供を虐待したり捨てる親よりは、まともですが、
決して自慢できる絆ではありません。
是枝作品だったら、
「第三の殺人」が、 パルムドールを受賞して欲しかった。。。
Michi
なかなか良かったです。
⤴現在の日本の社会問題を様々な形で表現されている
⤴ストーリーも良く出来ていて堪能させてもらいました。
⤴最後はいろいろと考えさせられるような形になっていて、余韻に浸れるのも良かった
⤴子役2人の演技が素晴らしい
あまりにも制作予算低い
樹木希林死んで全部バレてしまってラストが雑。
他人同士の怖くて悲しい共同生活物語。
陰気臭い
コロッケ万引きしたり無銭飲食ダッシュして欲しいよね、犯罪がチョッピリで小さい金額ばかり。
スリ、初詣の賽銭箱かっぱらいくらいしてくれ。
心が締め付けられた。
最近あった虐待ニュースを見ていたから、りんちゃんの境遇に胸が締め付けられた。
あの後どうなってしまうのだろう…
あの終わり方だったのは是枝監督からの問題提起と感じた。
あれで幸せな結末になれば、よかったね、いい映画だったね、で観た人の感想は終わってしまう。
年金生活者への寄生、幼児虐待、車中放置などなど現実問題にシビアに切り込む是枝監督、素晴らしかったです。
安藤サクラがりんちゃんをぎゅーっとするシーンは、「そして父になる」で真木よう子がぎゅーってハグするシーンに重なって切なくなった。
全921件中、701~720件目を表示