劇場公開日 2018年6月8日

  • 予告編を見る

「ホンモノの愛はウソの家族でも」万引き家族 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ホンモノの愛はウソの家族でも

2020年6月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

難しい

今更ながら鑑賞。
そこそこ気になっていたし、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールも取っているということで中々期待度は高め。

これは、面白いというか素晴らしい。
JOKERもパラサイトもそしてこの作品も現代社会に訴えかけるような映画は、難解かつ心が苦しくなる。

血の繋がりがほとんど無い5人家族は、祖母の「年金」で繋がっていた。年金で買えないものは協力して万引きをする。汚れた心しか持っていないと思いきや、この家族はいつも笑って過ごしていた...。

リリーフランキーと安藤サクラの魅力を最大限に引き出した所がこの映画の最大の見どころ。
暴力的な2人かと思いきや、心は心底優しく、でも恐ろしい。この映画に"恐怖感"を産み出したのはこの2人だろう。

そして、松岡茉優。
完全に彼女に魅了されちゃったんですが、結構今までの見てきた松岡茉優出演の映画の中でもトップクラスで可愛かった。もちろん、見た目だけでなく演技も。

子供って意外と筋が通ってるんだな。
直感と表情で自分を操作していく。
こんな家族の中でも2人は格段に成長を遂げた。

エンディングの曲はすっごい良かった。
不思議と涙がこぼれ落ちた。
何故だろう、彼らはもっと幸せになれたはずなのに。

大きな欠点としては、過去の振り返り。
逆にここを描かなかったから、コンパクトになっているのかもしれないがコンパクトにし過ぎた。

最近観た映画で例を挙げさせていただきますが、「恋は雨上がりのように」の1番の良かったところといえば時系列。何故、こうなったんだろうと思いながら見ていると後半にさしかかろうとした時に、過去に振り返る。あえて過去と現代をバラバラにすることで、最後まで飽きずにスッキリした気持ちのまま終えることが出来た。

この万引き家族では、見ている人がどう捉えるのかは自由とあえて縛らない作風にしていると言ったらいい意味になるだろう。しかし、見ている人の捉え方の自由度が広すぎるのは完璧な映画とは言えないのでは?
経歴、経緯、出会い、別れ、描くべき所は描かなくっちゃね。

たとえ、血の繋がった家族だとしても嫌いな人は嫌い。たとえ、血の繋がってない家族だとしても好きな人は好き。だって、結婚するってそういうことでしょう。
血が繋がってれば母親?家族以外の子供を育てたら、育てた人は母親になれないの?

映画館で見た方が染みただろうな。
松岡茉優出演の映画制覇の旅は、まだまだ続く!

サプライズ