「コロナ時代に貧困問題を考える手がかりに」万引き家族 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
コロナ時代に貧困問題を考える手がかりに
ケン・ローチ監督と同様、是枝裕和監督は貧困の問題をたびたび扱ってきた。共通するのは、低所得ないし無所得の庶民の視点から制度の不備や社会の非情を明らかにしつつ、家族やコミュニティの非力だが確かな思いやりと絆に希望をつなぐ点だ。
この「万引き家族」に、元々内包されていたが今のコロナの時代に観るとより鮮明になる要素があるとすれば、彼らを貧困状態に追い込む制度も社会も問題だらけだが、そうした状況を温存させているのは民主主義社会を構成する有権者の私たち一人一人という不都合な真実だ。コロナ対策で失態を続ける現政権だが、過半数の支持を与えてきたのは有権者であり、緊急事態宣言と活動自粛で経済を止めてコロナの死者より多くの自殺者を生み出すのもまた“社会の空気”なのだ。
万引き家族たちは可哀想だが健気に助け合って感動!ではなく、こんな社会を保つのも変えるのも自分なのだ、という視点を持ちたい。
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