「普通に興味深く観ていたが。。。」万引き家族 りかんさんの映画レビュー(感想・評価)
普通に興味深く観ていたが。。。
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まず、非常に現実感溢れる映像と演技に心惹かれた。
特に安藤サクラ、リンちゃん役の子、リリーが素晴らしい。
しかし、後半になり一つの疑問が生まれた。
リンちゃんは明らかに実の両親から虐待されており、それをリリーや安藤サクラも認識していた。
自分達が警察で事情聴取を受けた時、何故虐待の事を言わなかったのだろう。
いくらリンちゃんが実の両親の元に帰ると言っても、殺される程の事がない限り、子供は親を慕うものである。
また虐待が始まる懸念はリリーやサクラにはなかったのだろうか。
そして、サクラの言葉で私の気持ちはサーッと冷め、彼らの行動に納得した。
「私は盗ったのではなく拾ったのだ」
そうか、車の中に放置されていた男の子も、寒空でお腹をすかせていたリンちゃんも、彼らは保護したのではなく、自分達が家族ゲームをしたいがために「拾った」だけなのか。。。
確かに愛情は注いでいた。
それは分かる。だが、やはり真実の愛ではなく、自己中心的な愛情であることを、子供の鋭い感性で、特に男の子は分かっていたのだろう。
リリーやサクラのことは好きだ。だが、悪い事を悪い事だと認識しない大人を「父ちゃん、母ちゃん」とはどうしても言えなかった男の子の賢さが救いだ。
サクラの泣きの演技と樹木希林の海辺の表情は圧巻である。
但し、このような自己中な大人の愛情には苦々しい思いしか残らない。
もしこの映画を観なかったとしても悔いはないだろう。
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