「ありがとう」万引き家族 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
ありがとう
ひとつひとつのシーンの細やかな演出の施しようは枚挙にいとまない。吹き溜まりのように集まった家族であるが、構成する各人それぞれの距離感の違いが微妙に異なり、それが立体的な照らされる。構図の中心にいる、リリー・安藤の擬似夫婦と2人の擬似子供たち。それに対して微妙なバランスで配される樹木・松岡。特に半分居候然としている松岡茉優のキャラクターをここに放り込んだのは、驚異の一手で、絶妙な緊張感を全体に与えていたようにも思える。一過的な家族、しかし所詮は個人の集まり。永続的ではないからこそ貴重でもあり、人生を通り過ぎ、心に住まわせ、人は次へと向かう。
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