「愛の成就をすくい取った映画」万引き家族 unangpさんの映画レビュー(感想・評価)
愛の成就をすくい取った映画
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万引き家族
是枝監督の映画はデビュー作から拝見してきまして、とりわけ衝撃的だったのは「誰も知らない」でした。
今作は「誰も知らない」の大人版というか、家族版というか、そういう感じでした。
この映画は愛が描かれているんだと思いました。自分が愛する者に、自分の最も大切な物を差し出す。ユリに対して、祥太は自分が最も大事にしていた万引き(で逮捕されるという犠牲)を差し出し、夫の治に対して妻信代は自分が最も大事にしていた夫との時間(死体遺棄の罪を被って服役するという犠牲)を差し出し、治は祥太に対して自分が最も大事にしていた父になりたかった自分を差し出し、おじさんに戻る。
この映画はハッピーエンドで終わらない。しかし、登場人物達は純に愛を遂行する。これが幸せの一つの形なんだ、と思う。
現代の過酷な環境の下で、「誰も知らない」暮らしを望んでいた登場人物達。しかしそんな幸せな暮らしは、誰かに知られる事によって終わりを告げる。日々の暮らしもままならない血の繋がらない家族達は、精一杯の自分を捧げ合うことで愛を成就する。その純な瞬間をすくい取った映画。すばらしい。
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