「十色の答えを持たせる映画」万引き家族 ヒツジさんの映画レビュー(感想・評価)
十色の答えを持たせる映画
邦画の多くは問題提起をしたのち、後半で怒涛の答えあわせに入る作品が多くを占めている印象を受けるが、この作品は次々に問題提起を促して来た挙句、その答えは決して映画側から与えられることはなかったように思える。まるで何度も、答えはお前の中にあるだろう、それくらい分かるだろうと言われているようであった。
現代社会で問題になった女子高生を売るピンクなお店のシーンでは、私たちが【普通】に生きていては想像する由もない絆の形があり、それはある種の居場所の提供にもなっていると、私たちは何故かそんなことはないと決めつけている、或いは、はなからそんなことなど、頭にもなかったのではないかと思う。
テーマは明確であるが、私たちが当たり前と感じていることの本来の重み、自分たちの角度でしか見てこなかった現代の闇(一般の人らがいう闇だがそれは誰かの当たり前或いは心の拠り所)、様々な角度から様々な憶測が飛び交ういい映画だったと声を大にして言える。
何が良くて何が悪い、何が当たり前で何が歪みか、自分のズレすぎていた秤を恥じる、いい機会になった。
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