「大人の更生は難しいだろうと思った。」万引き家族 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
大人の更生は難しいだろうと思った。
色々考えることが広がって全然感想まとまらないので脈略なく吐き出しておきたい。とても素晴らしい映画だと思いました。
池松壮亮が出てきて、きゃっとときめいた。不意打ち。
サクラちゃんと松岡茉優ちゃんが姉妹でない察しはついたけど、おばあちゃんとサクラちゃんも赤の他人だったなんて…というしょぼめの衝撃を受けた。
松岡茉優は樹木希林の元夫が不倫して別の人と設けた息子の娘で、妹の名前を源氏名にしてJK見学店で働いている。4番さん(池松くん)となんだかつながりを見出している様子。
樹木希林演じるおばあちゃんは、元夫に逃げられていて(離婚はしなかったのかな?だから年金があるのかな?)、元夫がほかの女性と設けた子供(茉優の父)んちに月命日のお参りと称して訪問、せびるつもりかどうか知らんけど、茉優の父から金を受け取っている。茉優はどうやら両親と不仲。両親は世間体大好きっ子なので、家出した長女を留学中と称している。
サクラちゃんと子供ショウタはずっと親子なんだと思っていた。
母子の暮らしに変なおっさんが入ってきたからお父さんって呼べやんのやと思っていた。
こういうことかなと想像しながら見ていたけれど、実際は更に上を行く感じで、
客観的にみるとどえらい犯罪者夫婦(内縁)だった。
貧しくとも学校は通わせられるんちゃうんかなと思ってたけど、
誘拐した子ならばそら通わせられへん。
一人一人の収入は低くとも、リリーさん、サクラちゃん、おばあちゃんの年金があれば、もうちょっとましな生活、せめて食糧を万引きする必要はないんちゃうんかなって思った。
まあ、リリーさんほとんど働いてなかったし、サクラちゃんもクビになった腹いせ?に化粧品やら下着やら高そうなのを衝動買いしてたし、
そういう感じだから食糧に回すお金もないんかもって思った。
言葉にされていない部分でも、いろいろ想像が巡る部分があって、
サクラちゃんはきっと虐待されてたんだろうし、
子どもが産めない、産まない事情があったんだろうし、
切なくなった。
ショウタが万引きに疑問を覚えてくれたのは、ほっとした。
彼は与えられた環境の中で、出来る事の最良のことをした、と思う。
おじさんおばさんになってからだと、ずっと続けてきてしまった悪癖を断つのは難しい。
それ以外で生きていく術がないもの。
まともな収入も住居も手に入れられないし、類は友を呼ぶ以外の人間関係を築けないから、生活を向上させる術がない。
まともを自負する人たちは、リリーさんやサクラちゃんにチャンスを与えようという気にはならない。
周囲が見下し、嫌悪する立場を崩さないから、本人たちも助けてくれって言えない。
リリーさん、サクラちゃんが実際に居たとして、私も多分目もくれない。
触れ合うことがあったとしても、記憶にとどめる必要がないと判断すると思う。
ある程度の年齢がきたら自業自得でしょって断罪してしまうと思う。
それが正しいとは思わないけれど。
社会の底辺に追いやられた人を見下し目をそらす私が映画の隅っこにいた気がして、
情けないなとおもったり、でもどうにもならへんし、自業自得でしょって思ったり、気持ちの置き所が定まらなかった。
リリーさんとサクラちゃんは、機会や人やなんやかんやに恵まれていれば、
人を殺す必要がなかった人じゃないかと思う。
彼らは理由・手段はどうあれ、ショウタとゆりを慈しんで育てた。
健やかさのかけらは確かに持っている。
だけど。
ショウタとゆりが、将来リリーさんやサクラちゃんにならなくて済む方法は、なんだろうか、とも考えた。
パルムドール効果で普段のお客さん意外も観ているなーと感じました。
おめでとうございます。