劇場公開日 2018年6月8日

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「静かな時間で綴る家族の絆」万引き家族 ちゃーるすとんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5静かな時間で綴る家族の絆

2018年6月4日
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正直、メリハリのない映画だが、海街diaryのように見たあとにほっこりする気持ちになるのは是枝裕和の力なのだろうか。

特に、安藤サクラの演技が素晴らしかった。
闇を抱えた母親感をここまで引き出せる女優はいないだろう。
リリーフランキーのいい役を久々に見た。
最近、悪役としてのイメージが強かったけれど、柔らかな表情の裏に隠れる過去までしっかりと見て取れた。

これだけのキャスト、監督を揃えたのだから、見応えのある映画になっていると思っていた。

しかし、大きな事件もないまま淡々とストーリーは過ぎ去っていく。それだけ聞くと退屈しそうだが、闇を抱えた家族の、闇にはあまりフォーカスせず、そこを家族の絆として描いたからこそ、あまり見たことのない家族の絆を描いた作品になったと思う。

それぞれが、家族になりたくてたまらない人々なのだろう。それをストレートに表現してはいないので、モヤモヤも残るが、それは観客が頭でイメージすることで成立する。
映画を見たのに小説を読んだような後味である。

子役の2人が主役というコメントを見たが、確かにそうだ。息子が万引きということを普通だと思い生活していた環境から、万引きがばれて離散するきっかけを作ってしまう。そこで、万引きの悪さ、異常な家族であるということに気づく。
そんな後でも、父親が恋しい息子の姿が描かれている。

広角な映像が多いのも、家族がひとつの家に住んでいるというイメージを植え付けるためだろうか。

松岡茉優の演技は相変わらずたまらないし、
樹木希林の演技は言うことないし。
イチオシの蒔田彩珠も出てるし。

退屈さは、人によりけりかと思うが、見て損は無いと思う。

ちゃーるすとん