「今一番」万引き家族 kenseiさんの映画レビュー(感想・評価)
今一番
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是枝作品は、観る人に余白を与えて様々な考えを起こさせるような作り方をしてる、と考えています。
ある種突き放したような終わり方や、突如登場人物の社会的立ち位置を俯瞰した描写が入るので、それを考えるとゾッとする作品が多いな、と感じてます。ただそこがすごく丁寧ですし、作品全体としての完成度が異様に高い監督さんだと思います。
特にこの作品はよくよく考えりゃ全ての人物達が異常に見えてしまうのです。万引きを繰り返す家族はもちろんのこと、ネグレクトをする若夫婦、連日事件を取り扱うマスコミ、取り調べをする警察達も、何か得体の知れない気持ち悪さを含んでいます。特に警察の取り調べの辺りには、平和や秩序を守るが故の怖さを感じました。
しかし、これらを感じるのも全て、役者さんの演技のなせる技です。特に方々で言われてますが、安藤サクラさんの演技は素晴らしかったです。本当、今一番演技が上手い人だと思います。演技派達が集結している家族の描写が、とても良い。あの家族の生き生きとした映像を散々見せられているからこそ、特に警察での話がとても辛かった。ラストに関してもすごく切ない終わり方です。
社会のあるべき体裁だからこそ、救われないものもあるし、ただあの場所に居れば、また誰かが盗んでくれるかもしれない、そんなことを感じるラストでした。
今の家族のあり方を問う、というよりは何かもっと深い、社会を生きるとは何か?そんなことを考えてしまう映画でした!パルムドール受賞おめでとうございます!
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