「人間の生きる本質をえぐる映画史に残る名作」万引き家族 映画野郎さんの映画レビュー(感想・評価)
人間の生きる本質をえぐる映画史に残る名作
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是枝監督が「10年間考えてきたことをすべて詰め込んだ」と話されていたが、本当の幸せとは何かという本質を、犯罪でしか繋がれなかった家族の物語を通して伝える重くも優しい作品。
現代にはびこる数々の問題ーひたすら規模を追い求める超消費社会、負担を強いられる子育て環境、行き場を失った性を売り物にする女性など…それらを受け取りやすいかたちで紡いでいる。
時折聞き取りづらい会話があるぐらい、日常感がスクリーンから溢れる画づくりで自然ながら観客を引き込んでいく。それを実現できるのも、深みのある名役者たちの存在。樹木希林の佇まい、リリー・フランキーの空気感、安藤サクラの語りかける無言の表情と涙、松岡美優の愛くるしさ…どれも最高レベル。城桧吏くんは今後が楽しみすぎる。
それだけの役者を集められる是枝監督は、日本を代表する映画監督だ。
本来、生態系の循環の一部である人間も、死んだ身体を埋葬することですらお金を必要とする社会…随所にとても考えさせられる問いを投げかけてくれる。
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