「究極の家族の形がここに存在していました。」万引き家族 ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
究極の家族の形がここに存在していました。
家族ってなんだろう。
愛するってどういうことだろう…。
家族の繋がり方について考えさせられる映画でした。
タイトル通り万引きをする事で生計を立てている家族。
万引きという行為が、家族の絆を深めているのだとしたらなんとも皮肉な話です。
常に金欠、明日の生活が危ぶまれる中、今日のために万引きを繰り返す…。
幼い子供が父親の大人に従い行動する姿に、切ない気持ちでいっぱいになりました。
唯一頼りにしているのが、一緒に暮らしているおばあさんの年金。
一人暮らしの孤独の老人の年金をムサブリ食いながら生きる家族の有様は、ゴキブリのように意地汚く映ります…。
それでも生きるためなら、どんな事でもいいやるしかないというのが、貧乏の宿命なのかもしれません…。
冒頭から引き込まれる、困窮とした生活に、絶望感と悲しみしか感じませんでした。
しかし、中盤から一変!
辛い気持ちの端々に、暖かい家族の温もりを感じる瞬間が見え始めます。
父親の息子に対する優しさ、母親の娘に対する抱擁。
その愛し方全てに、絆のようなものを感じることができました。
まさに、家族であることの幸せや、愛するということの尊さが滲み出ています!
ここの家に住む人たちは、皆一度家族に絶望した過去を持っています。
だからこそ暖かい家族を、偽物でもいい、偽善でもいいから、目の前に形つくりたいのかもしれません。
本物だなんて眩しすぎる、私たちには偽物が丁度いい…。
だって、繋がりなんてあっという間に途切れてしまうのだから…。
そんな心の声が聞こえてきそうな映画でした。
皆本当の自分を隠しながら、仮面を被りもう一人の人間を演じているのです。
果たしてどちらが本当の自分なのか…。
その答えは…、最後までわからないままです。
でも確かな事は、たとえ偽物であったとしても、バラバラであったとしても、幸せであればそれでいいという事。
今日を今を精一杯生きることに、彼らの幸せがあるのだとしたら、十分素敵なことだと思います。
幸せの重さや形なんて人それぞれ。
たとえ偽物でも、何かしらの幸福が存在しているならば、それは本物をも超越する最強の愛情なのだと私は思いました。
最後になりますが、パルムドール受賞おめでとうございます‼︎
是枝監督らしい「家族」の映画でした。
今後の監督の作品がますます楽しみになりました(^^)
ありがとうございました‼︎
さらにおまけ…。
キャストの子役二人の天才的な演技と、ベテランのリリーフランキーさん、安藤サクラさん、樹木希林さんなどなどの魅力ある演技に引き込まれました。
役者の天才的な演技力にも注目です!