「これがインド版「終活」なんですね!」ガンジスに還る ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)
これがインド版「終活」なんですね!
死期を悟り、ガンジス河畔の聖地バラナシで死を迎えるべく移住を決意した老父とその家族のヒューマンドラマ。家父長制が根付いているのか、息子(と言っても適齢期の娘がいるのだが)は仕事まで休んで、「終活」ホテル入りする父親に甲斐甲斐しく付き添う。インドの人達にとってガンジス河がとても神聖な場所であること位しか知らない私たちにとって、この作品で見知る彼らの宗教観・人生観は本当に驚くことばかり。しかし、死期が到来するのを心静かに迎え待つ慣習は、それだけ死を尊厳あるものとして受け入れていることの証左でしょう。人が亡くなることを「解脱」(呪縛束縛から自由になること)と呼ぶのも、そういった死生観と無縁では無いように感じました。ちょっと興味深かったのは、終活ホテルの滞在期間が最長15日に決められている点。実際に永眠する日など誰も事前に分かることなどまず無いのに、そんな決まりを本当に守れるのかと最初は不思議でしたが、そこはちゃんと知恵で解決していた! 遠く離れたインドの人達の人生観や家族観がこの作品を通して覗き見れたようでとても興味深く感じました。
コメントする