葡萄畑に帰ろうのレビュー・感想・評価
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政治家経験を反映させたコメディ
ジョージア(グルジア)の重鎮監督の久しぶりの映画と聞いたので、どんな重厚な作品なんだろう、と思っていたら皮肉たっぷりに政治コメディだった。旧ソ連から独立した時に政治家も務めた経験のある監督自身の実体験を存分に反映させた作品らしい。 難民追い出し省というすごい名前の省の職員はなぜかローラースケートを履いて仕事しているし、そこの大臣である主人公が買った椅子はなぜかしゃべって人をかどわかす。椅子は権力の象徴で、それが人を狂わせるのだということを面白おかしく描いている。全部実体験から着想を得たらしいが、政治の世界では本当におかしなことばかり起こるのだろう。 主人公は、大臣をクビになった後、人生において大切なことを見つける。故郷のぶどう畑が美しい。ジョージアはワインの産地として有名だが、上手いワインと愛する家族以上に人生に大切なことはないのだと軽やかに謳い上げる作品だ。
予想外にお茶目な面白さ
ジョージアはワイン発祥の地と呼ばれているそう。政治家や家族を題材にした旧ソ構成国の映画と聞くと、固い映画なんじゃないかと敬遠しそうになるが、実際に観るとなかなかどうして、風刺あり、ユーモアと笑いあり、そして感動ありと、実に小粋な良作だった。 日本でも「大臣の椅子」「社長の椅子」などと言うが、椅子を重職や権力の象徴とするのは世界共通なのだろうか。英語でも議長や会長をchairmanと呼ぶし。でも、椅子を単なるメタファーにとどめるのではなく、擬人化して狂言回しに使うという発想に意表を突かれたし、それが80過ぎの高齢監督エルダル・シェンゲラヤの作品というからまたびっくり。 おまけに、アナ役のナタリア・ジュゲリ(監督の孫娘)をはじめ、女優陣が美人揃いなのもポイント。ジョージア映画、もっと日本で観られるようになるといいな。
ジョージアって、スターリンの祖国。
ジョージアって、スターリンの祖国。先ずはそこから入らないといけないのではないだろうか?一回見て訳が分らない位面白くなかったので、もう一度見てみたが、間違いが無い位、面白くなかった。ウクライナとジョージアが『親ロシア勢力』を同じ仮想敵国として、親密を維持しているので、この映画も親ウクライナと解釈しているのかも知れない。
訳が分からないギャグを1時半も見せられる。この辺の国は、一人の我田引水では、国は変えられない事は充分に分かっているし、まともな政治家は真剣に手を出さない様に思う。そう言えば、ウクライナも元俳○と聞く。この監督も元この国の大臣。なんか共通するのか?
大臣の椅子
大臣の特注の謎の椅子が狂言回しのヒューマンコメディ。
葡萄畑のある故郷はちょっとしか描かれません、邦題のイメージから汚れた政界を引退して故郷で地道に働いて人生の真の価値を見出すシリアスな感動ドラマを予想していたら見事に覆されてしまいました。
さすがに老練な名監督らしくワインを飲みながら作ったような脱力モードでありながら人生あるあるをコミカルに描いて楽しませてくれます。何より「クレオパトラの涙」と称されたワイン発祥の地ジョージアですからワインはソウル・ドリンク、飲めば憂さも紛れるということなのでしょう。
ただ、主人公は悪人ではないのですが「難民追い出し省」と頂けない肩書や他力本願の性格は今一、窮したと言っても帰れる故郷があり優しい家族にも恵まれているのですから同情する余地も薄いので感情移入は微妙。大人たちのさもしさに壁癖とさせられますが無垢な子供やペット、おかしな小道具を散りばめてファンタジックに脚色、不思議とほのぼの感の残る小品でした。
ジョージアに行きたくなった
私はジョージアの作品が初鑑賞なのですが、地理的にはトルコの上ウクライナの下なんですね。なんとなく作品の雰囲気がクストリッツァに似ていたので気になったのですが、黒海の向こう側が旧ユーゴスラビアなので、雰囲気も似るのかもしれないです。 権力を持つ人間も権力という椅子に振り回されてしまうという皮肉なのでしょうが、どの国も一緒なんですね。官僚国家の旧社会主義国ではその印象が強いですが、今では資本主義国でも変わらない様なそんな事を思いました。 様々な文化が混在してそうなので、ジョージアに行きたくなりました。
原題、が要
ワインを初めて作った?と言われるジョージアを訪れた2年前。 冗談じゃなしにそこかしこワインです。 この映画のぶどう畑のある、カヘティ地方の友人の実家では、自宅でぶどう栽培、ワイン造りをやります。ワイナリーではありませんw この地方の多くの農家では、当たり前のようにワインを造るのです。 朝が遅いトビリシでもワインショップは24時間営業。 いかにジョージア人にとってワインが、葡萄が、心の根っこにある不可欠なものであるかを痛感しました。 なので葡萄畑に帰るということは、ジョージア人のあるべき所に帰るということですが、この事情を知らないと、この邦題にはあまり引っかからないかもしれません。 原題「The Chair」の方が、風刺というこの映画の主旨をわかりやすく、かつ椅子がやたら真理をついてくる意味が理解できるような気が…でも、面白くはなさそうだな…w 展開も急で、いろいろ雑ですが、愛情をもって観られたので満足です。ここまでいろんなもん動くとは、監督の遊び心にニヤリとします。
椅子のお話
前知識は映画館の予告のみで鑑賞。 政治風刺や親子愛の感動物語だと思っていたら、初っ端からファンタジーな感じでした。 何か目新しい太い柱や深い思索があるわけでもなく。「○○の椅子」は地位や権力をあらわすけど、人間性や人の幸せとは別だよね、という結構ありがちな話を確認する映画なのかな。 時間のあるときに気軽にふらっと入って少し笑って、いっときくつろぐ感じかなぁ。
ジョージア発ファンタジー映画(笑)
何なんだ、これは!(笑) 微妙に笑うしか無い感じです。 政治家やマスコミへの風刺を込めたジョージア風コメディー。 原題は「The Chair」だそうで、 そのタイトル通り、不思議な椅子に座った途端 主人公ギオルギに次々と波乱な出来事が訪れる。 良いことも悪いことも〜〜 不思議な椅子は災いも連れてくれば 助けてくれる時もある。 まあ、意味ありげなその登場の仕方がキモかも〜 不思議な椅子に呼応して 調度品が突然勝手に動きだすというような ちょこっとした特撮もあり、 微妙〜〜〜に笑えるかも〜〜〜(笑) で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては 内容的にはなかなかシュールな出来です。 悪役が唐突にキレてとんでもないことになって行ったり 主人公ギオルギは無罪をちゃんと証明したのか?とか ???な部分もありますが、 ジョージアという国のことを全く知らないので そういう意味では勉強になったかも〜〜 一応移民問題にも、監督なりの答えを出していて 意欲作なんだということも解る感じです。 原題の「The Chair」に引っ掛けた邦題とポスターを 考えた方が良かったのでは? なんかここ数ヶ月の間に似たような邦題が渋滞してて 紛らわしくて埋没してしまった感じ。 私は個人的に 田舎で大家族や友達が大勢でテーブルを囲んで 楽しそうに飲み食いしてるシーンが無条件に好きなので このポスター一発で観に行くことを決めてしまって そういう意味では上手く騙された口ですけどね〜(笑) @もう一度観るなら? 「ダメじゃ無いけど他に観たいものがあったらそっちを優先します」
え? それで? ははは・・・的な笑い
ジョージア(グルジア)の「国内避難民追い出し省」の大臣ギオルギ(ニカ・タヴァゼ)が主人公。
待望の大臣の座を手に入れ、椅子も高級品を入手したが、その椅子は勝手に動き回る・・・
というところから始まる物語で、意思持つ椅子が狂言回しとなってギオルギの栄光と転落をコメディタッチで描かれていきます。
で、観はじめて、この手のタイプのジョージア映画かぁ、と早々に愉しむのはギブアップ。
オタール・イオセリアーニ監督のノンシャラン系のジョージアコメディが肌に合わないので、笑うに笑えない。
いや、観客のなかではいちばん笑ったほうだと思うのだけれど、それでの「え? それで? ははは・・・」的な笑いで、ほかの観客はほとんど笑っていなかった。
もう、顔面が凍り付いたような感じ。
どこが面白くないのかもわからないが、意思持つ椅子が狂言回しという設定で、もう、ひと昔ふた昔前みたいな感じがして、「嘘臭さ」を感じてしまうのかもしれません。
というわけで、とにかく、肌に合わなかったです。
☆☆☆★★ この映画に登場する椅子は【権力】の象徴であり、《賄賂》...
☆☆☆★★
この映画に登場する椅子は【権力】の象徴であり、《賄賂》でも有る。
他に登場し、突然動き出す《モノ》達もしかり。
最後に爆発する《家》も、当然の様に!
但し、政治家の不正は決して止む事は無い。
上手くやった者だけが権力の座に着く。
そんな風刺映画でした。
我々日本人にはモデルが居るのか?が分からないのは致し方無いですね。
シャガール大好きなクストリッツァが悔しがりそうな椅子の使い方でした。
2018年12月22日 岩波ホール
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