マルクス・エンゲルスのレビュー・感想・評価
全29件中、21~29件目を表示
敵を知る
階級闘争という言葉には、生存競争みたいな語感がある。生存は競争ではない、最適なものがより多くの子孫を残せるということで、別に人間と猿が競争しているのではない。
階級闘争も、利害が本質的に異なるからしたくなくても立場は真っ向から互いに反するものになる。
これはたぶん、友情や憐憫や博愛や闘争などがあってもなくてもそういうことなのだ。
マルクス、エンゲルスの先見性は、何が敵なのか(誰が、ではない)を明確にしている点なのかな、とこの映画を見て感じた。
若き日のマルクス
学生のときに一度は「資本論」の読破に挑戦した人がいるだろう。かくいう当方もそのひとりであるが、残念ながら第一巻で断念してしまった。
神保町の岩波ホールは歴史ある映画館で、本作品はその単館上映作品である。文化や教養の代名詞と言ってもいい岩波は、映画館でもアカデミックな作品を上映する。そのせいだろうか、観客に若い人は殆ど見かけなかった。ひとりだけ、母親と一緒に来ていた高校生くらいの男の子がいるのを見て、母親を褒めたい気になった。
マルクス経済学を評価するようなことは、経済に疎い当方には荷が重すぎるが、彼の理論が世界的に大きな影響を及ぼしたことは知っている。ソビエト社会主義共和国連邦という国は、マルクスなしには存在しなかった。中華人民共和国も然りである。映画に登場するエンゲルスをはじめ、トロツキー、レーニン、毛沢東、カストロなど、マルクスの思想の流れを汲む人々が次々に世界の政治の中枢を占めている。ただしそれがいいことだったかどうかはわからない。
作品は妻と娘を抱える若き日のマルクスが、生活に困窮しながらも一切の妥協なしで思想を深め、理論を広げようとする懸命な姿をひいき目なしに描く。仲良くしておいた方が有利な相手でも、理論的に間違っていれば平気で論破する。しかもとことん追い詰める。マルクスは人格的にはそれほどいい人間ではないかもしれないし、自分の人生設計には無頓着だったかもしれない。映画はそのあたりも遠慮なしに描き出す。
しかしマルクスの評価はそういったことに左右されることはない。評価すべきはその理論であり著作であり、それらを確立した彼の人間エネルギーそのものである。若き日のマルクスは、権威や権力に屈せず、暴力さえもものともせずに、落ち着いた大きな声で自分の理論を主張する。その胆力と溢れ出すエネルギーは、生まれついたものとしか言いようがない。栴檀は双葉より芳し。偉人は若いころから偉大だったのである。
役者陣は皆、達者である。特にマルクスとエンゲルスのそれぞれの妻役の女優は、ふたりとも品があって毅然としていて、一方で女らしさを存分に表現する。マルクスの妻を演じたビッキー・クリープスは5月26日に日本公開予定の「ファントム・スレッド」にも出演しており、鑑賞が楽しみである。
マルクスは若かった
マルクスと言えば、
髪ボサボサ髭モジャモジャ爺さん写真。
しかし、共産主義思想を世に出した頃はまだ青年だったとは知らなかった。
また、日本共産党の機関紙、赤旗新聞の調査力やオピニオン性が高いのは、共産党の教祖さまが新聞記者だったのが影響しているのか、との発見もあった。
ともあれ、生活力ないのに結婚したり子供つくったり、結局、他人(エンゲルス)のカネ頼みな人生で、美しく描いてるのかもしれないけど、普通に無責任男。
知り合いだったら、絶対こんな男の言うこと信じない。
観るべきかどうか微妙
現代の観点で「階級闘争」をどうとらえるべきなのか、そういう視点を与えてくれる映画だとは思えなかったので、インパクトを感じられなかったのが残念。
へぇ、と思ったのは、休日にもかかわらず満席だった。 お歳寄りが圧倒...
へぇ、と思ったのは、休日にもかかわらず満席だった。
お歳寄りが圧倒的に多かったが。
先ず、マルクスは貧民という程ではなく家政婦も雇えたレベルである。
その思想の裏には
「理性を持つ人間が、一番触れてはならない禁忌、つまり欲で金亡者になった事で卑下した改宗白人ユダヤ」
の家庭に生まれた事での劣等感が根底にあったと思っています。
更にマルクス26歳エンゲルス24歳と若い。
チャーチルが言ったとか言わなかったとかの言葉に
【20歳でリベラルに目覚めないのは情熱が足りない。
40才でも保守にならなければ知能が足りない。】
当に、その途中での出来事であり、
革命を起こすしかなかった時代を乗り越えて、
自分がリーダーになった時に政治改革を行うのだったら、どうだっただろうと、
特にエンゲルスはブルジョアジーであったのだから、と思う。
この映画の他レビューに、
日本は民主主義が機能していない、とあったが、
笑ってしまった。
日本が民主主義じゃなかったら、とっくに共産党も無くなってるし
あの悪夢の民主党政権は無かったんですよ。
「政治は民度」、それだけの事です。
一緒に鑑賞した息子が
「貧乏貧乏言う前に、マルクスは子供をポンポン作るなよ。そして俺達はご老人の為に年金掛け金払っているけど、自分達の年金なんて期待できないんだぜ。」と言っていた。
う~~ん。。。
批判の無限ループ
共産党宣言が出来るまでの歴史物語。若さ若さって繰り返すわりに古臭い作りで正直ガッカリ。しっかり者の奥さんが出てきてフェミニズムっぽかったり、お金を燃やす映像が流れたり、なんだかシラけてしまいました。お年寄りのための映画でしょうか。
対価
マルクスがエンゲルスと出会い、共感し共産主義者同盟に加入するまでの話。
マルクス主義に賛否を述べる程の知性も思想も持ち合わせていない自分からみても、どの様にして思想を構築していったかの導入部分をみせてくれるドラマでなかなか面白かった。
欲を言えば、この作品より前の共産主義思想へ転換した切っ掛けの部分をみせてくれたらなあというところ。
階級闘争は、常に存在している。
現代の日本にも。
この映画の時代では、ブルジョア階級(資本家)と
プロレタリア階級(労働者)でした。
現代の日本では、既得権益を有し、既得権益に
守られている人々と既得権益を持っていない人々
です。
自由民主党による一党独裁が続き、民主主義が
機能していない日本では、既得権益のあるなしが、
階級となります。
政治家は、金を受け取る、票を集めることで、
公権力の行使に関して何らかの便宜を計っています。
官僚は、既得権益を守るため、政治家に忖度し、決裁文書を
改ざんし、国民の知る権利を無視して、証言しません。
検察は、略式起訴や不起訴処分で、真相を闇に葬っています。
メディアは、記者クラブで情報を入手するという
既得権益を守るため、現実を直視することなく、
大本営発表を垂れ流すだけです。
経営者や管理職は、利益を得るという既得権益を守るため、
現実を直視することなく、正社員を派遣社員にして賃金を
下げ、社員に長時間労働を強いています。
既得権益持っている人々は既得権益を手放さないし、
既得権益を持っていない人々は既得権益を手に入れる
ことはできないので階級となりえます。
この現実を直視しているのでしょか?
カール・マルクスは、ジャーナリストとして現実を直視し、
行動しました。
フリードリッヒ・エンゲルスは、紡績工場の社長の
息子として、妻となる女性社員をとおして現実を直視し、
行動しました。
カール・マルクスの妻であるイェニーと
フリードリッヒ・エンゲルスの妻であるメアリーは、
フェミニストというより、革命家の妻です。
日本にこのような女性はいるのでしょうか?
現実を直視する人だけが、行動することができます。
1848年に共産党宣言を発表したとき、カール・マルクスは
29歳、フリードリッヒ・エンゲルスは27歳です。
1848年というと、日本は江戸時代の終わりで、幕末の直前です。
日本は、ヨーロッパに比べて150年は遅れている!
日本は、あと何年遅れるのでしょうか?
パンフレット以外にもマルクス関連の書籍が購入できるので
お金を持っていくと良いでしょう。
全29件中、21~29件目を表示