劇場公開日 2018年7月7日

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「毎回、これまでの作品を越えていく監督が松居大悟」君が君で君だ まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0毎回、これまでの作品を越えていく監督が松居大悟

2018年7月12日
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私が溺愛に溺愛している松居大悟監督、の最新作。
去年の7末にエキストラに参加してたのもあり、楽しみ倍増でした!!勿論初日に鑑賞。
今のこのご時世にこんな「昭和の頃の邦画ってこんなはちゃめちゃな映画あったよね〜!!!」ジャンルの、とんでも問題作を原案・脚本から作っちゃう松居監督は本当素晴らしい、大好き。
1人の女の子を10年間見守り続ける3人のストーカー男たちの話。終始明るくて面白いんだけど、非人道的なことを明るいシーンに見せるのはとても狂気でとんでもなく歪んでいて怖い!ある意味、殺人や暴力団の話やホラー以上に怖い映画でもある。
池松君、満島真之介、大倉孝二は演技がとても上手いから余計に…。
爆笑のシーンも沢山あったけど!
向井理とYOUの借金の取り立てヤクザコンビが出て来たのはある意味とても、いやかなり救われた。やってることはヤクザだけど、この3人に比べたらまともに見えてくるから面白い。ストーカー男3人組と、たまたま出会うこのコンビのマッチングがとても良かった。3人が姫と呼び見守ってる女の子の、付き合っているダメ彼氏の役は高杉真宙。さすが松居監督…高杉真宙君史上一番自然な演技だった…!良い監督の作品に出る人は誰一人大根過ぎて浮いてるって人がいないからマジで凄いと思う…。
姫と呼ばれるマドンナ役はキムコッピ。
笑った顔がくしゃってなって、とても可愛らしい人。吉高由里子にちょっと笑顔がにてる。決してすんごい美少女ではないんだけど、人を夢中にさせる魅力があるのがすごく伝わってきた。人を好きになるシチュエーションのあるストーリーの中で、好かれる側の人の魅力がスクリーン越しに観客に伝わってくるのはとても大事だけどなかなか難しいポイントでもある。松居監督は、女の子を可愛く撮る天才でもある。

きっと10人中8人くらいのひとがこの映画を観て「…」となることでしょう。しかし残りの2人のひと。の感受性が私はとても好きだと思います。
恋する人間の深層心理をえぐりだした、全く新しいタイプの恋愛映画。「勝手にふるえてろ」と同じで、この映画を観て、共感出来ないと嘲笑う人がいるかもしれないけど、そんな考えの人の中にも絶対多かれ少なかれ心の深いところにある黒いけど純粋な恋する気持ちを炙り出してくれると思います。

ちなみに池松君は姫の大好きな尾崎豊になりすまして生きる役なのだけど、私も尾崎の歌が大好きなので劇中で皆んなで「僕が僕であるために」を歌ってるシーンは本当に染みるし、この映画の中でも重要なキーポイントになってて、良いです。

まつこ