「幸福の黄金の戦士」ワンダーウーマン 1984 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
幸福の黄金の戦士
今年はコロナで満足いく劇場鑑賞が出来ず。特にハリウッド大作が。
秋の『TENET/テネット』でこのままフェードアウト…。
と、思いきや!
2度の公開延期に負けず、最強美女ヒーローが予定通り公開!
いやはや嬉しい~!
だって、今年特に楽しみにしてた作品の一つだもん。
まあ多くの人は間もなく国内歴代1位になる“鬼”だろうが、個人的にはコロナの被害に見舞われた今年の最後の最後に、ビッグ映画プレゼント!
2017年に公開され世界中で大ヒットしただけじゃなく、アメコミの女性ヒーロー物やDCユニバースの“救世主”に。
その待望の続編。
結論から言うと、今回も満足。
やっぱ『ワンダーウーマン』って、DC作品の中でも特に面白い!
前作もそうだが、何と言っても一番の魅力は、ワンダーウーマン/ダイアナことガル・ギャドット!
今回もその美しさ、カッコよさ、強さ、繊細さは余す事無く。
ダイアナも洗練された大人の女性になり、今回は舞台が1984年と現代に近付いたので、パーティーシーンでのドレスアップ姿はさらに美貌が映える。
アクション・シーンは言うまでもなく。
冒頭、ショッピングモールを襲った強盗退治。ただカッコいい、強いだけじゃなく、ユーモアやしなやかさも織り交ぜ、『BvS』や『ジャスティス・リーグ』とはやはり一味違う。
中盤、カイロでのハイウェイ・カーチェイスは見せ場の一つ。ワンダーウーマンもそのスーパーパワーを発揮するも、ある理由からピンチに。ハラハラ、スリリング!
そしてクライマックスは、今回の目玉、ゴールドアーマー! 従来のバトル姿も非常にいいが(チョー好きだが)、インパクトは圧倒的。黄金の鎧、翼、ある頂きに達したかのようなワンダーウーマンを見逃すな!
第一次大戦~1984年。時代の守護神のようなダイアナ。しかし、その心は、孤独…。戦友も、唯一愛した人も…。
そんな時出会った、久し振りに心通わせた相手。同じスミソニアン博物館で働くバーバラ。地味で冴えない彼女は、ダイアナに憧れを抱く。
今回のメインストーリーは…
スミソニアン博物館で調べる事になった謎の“石”。人の願いを叶えるという。
一体それは、神なる力か、魔なる力か…?
その石を手に入れようとするTVでも人気の実業家、マックス。
今回のヴィランで、傲慢でもあるが、SFチックな悪役ではなく、ペドロ・パスカルが現実味や悲哀さも滲み出す。
バーバラもある願いを。彼女に徐々に異変が。
名コメディエンヌのクリステン・ウィグが、序盤のコミカルさから終盤の敵対へ、巧演。
ダイアナにも願いがある。願う。それは…。
今回、驚きのキャスティングがあった。
前作で戦死したスティーヴを演じたクリス・パインの名が。
石の力で、スティーヴが“生き返った”。
愛する人との再会に喜ぶダイアナ。この時ばかりは恋する乙女。
二人で80年代デート。1910年代男のカルチャー・ギャップが面白い。
やはり、願いが叶えば皆、幸せ…?
否!
願いと引き換えに、ダイアナもバーバラも“ある物”を失う。
願いの代償。
これはまるで、日本の大傑作アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』ではないか! なので、非常に惹き付けられる題材だった。
石を手に入れ、願いの力を逆手に取ったマックスの恐るべき大陰謀。
世界が混沌に包まれる。
それに立ち向かうダイアナ。
失ったものを取り戻すには、別のものを失わなければならない。
それは彼女にとって、悲しい別れ…。
石の力そのものを手に入れたマックスや願いで“チーター”なる怪人と化したバーバラなどアメコミ的なヴィランも登場するが、本作の本当の邪悪なものは、人の“欲”。
欲、願い…。人ならば持って当然。
あれが欲しいこれが欲しい、ああなりたいこうなりたい…。
それは時に人の心を押し潰す。
欲にまみれた世界や人々に救いなど…?
それでもダイアナは信じた。
人の本当の心を。
それが、真実だ。
ワンダーウーマンの大活躍を劇場大スクリーンで観るに相応しい、アクション・エンターテイメント。
本当に劇場で観れて良かった。
でも、それ以上のものがあった。
今世界は、未曾有の脅威に襲われている。
もし今、願いが叶えられるとしたら…?
世界中の誰もが一個人の欲深い願いではなく、こう願うだろう。
世界がまた、幸せになりますように。