劇場公開日 2020年12月18日

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「DC映画の『ジョーカー』以降の傾向?」ワンダーウーマン 1984 シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5DC映画の『ジョーカー』以降の傾向?

2020年12月19日
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鑑賞方法:映画館

やっと、観れましたよ。
コロナのせいで今年はマーべル作品は全滅でしたし、本作ももう観れないと思っていたので観れただけでも嬉しかったです。でもコロナの第三波が騒がれ、公開二日目の土曜日にも関わらず観客席はまばらで寂しい状態であり“鬼滅”には遠く及びそうにありませんでした。
ネットでの評価も思ったよりも低いようです。個人的には私も一作目の方が好きですが、それほど酷いとも思わなかったしそれなりに楽しめました。
というか、SNSの映画レビューの統計値などは絶対評価ではなく相対評価的数値でしかなく、全くあてにならないという事をあらためて感じましたね。
例えば上記したヒット作の『鬼滅の刃』の統計値が非常に高くても、どこかのベストテンの1位に選ばれるような高尚で多くの専門家が高評価するような作品の統計値が高いとは限らないように、『鬼滅の刃』に満点をつける様な嗜好の人間が、本作を1点にする様な極端な現象が日常茶飯事的に起きている評価など殆ど信用出来ないってことです。でもついつい惑わされてしまっているのも事実です。しかし、まずは自分の目で観て確かめることが一番肝心だと本作を観て再確認しました。

まあ、私の場合ガル・ガドットを久しぶりに拝めただけでも満足だったのですが、本作の面白かったところも少しは書いておきます。
前作は純粋にヒーロー映画だったのですが、DC映画の『ジョーカー』という作品の影響もかなりあったのではないか?と思える節が多々ありました。まず本作、ヒーロー映画というより人間風刺映画と言った方が良い様な内容でした。
冒頭ではスパイダーマンの様な社会の小悪党を懲らしめるようなシークエンスを入れてましたが、物語の軸となっているのは勧善懲悪ではなく、人間の欲望や業の深さとそれに飲み込まれることによる悲劇であり、人間の弱さ危うさを描いているのは『ジョーカー』と同じでしたね。元々のキャラクターのテイストが全く違うので作風も全く違いますが、善良で優しき人間も1歩間違えれば悪となるという根本的な部分でのメッセージは似ているように感じられました。
それと『ジョーカー』は1970年代のイメージで、本作は1980年代が舞台というのも意味があると思います。
描写も(風景やファッションだけでなく)1980年代的テイスト(お気楽で幼稚な)作品の作りを、確信犯として真似ていた様に感じられました。
1970年代のアメリカはベトナム戦争があり、1980年代のアメリカはバブル期という、それぞれの時代の中の闇の部分の暗喩作品にもなっています。
でも、最近のヒーロー映画には単純な勧善懲悪は通用しないので、ヒーロー映画であっても人間を描きたいのならこのテーマが今の主流になっていることも確かですね。

しかし、ガル・ガドットのワンダーウーマンも4作目となり、もうワンダーウーマンはこの人以外考えられないし、往年の緋牡丹博徒シリーズのお竜さん(藤純子)のようで、登場すると「よっ、待ってました!!ダイアナ!!」って掛け声をかけたくなってしまいます。
という事で、くどいですが私は面白かったですよ(笑)

シューテツ