「みんな…大きくなったなぁ…」IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
みんな…大きくなったなぁ…
僕たちずっとLOSERS=LOVERS。
みんな大好き。
40歳の7人が笑っちゃうくらいルーザーズルーザーズしてくれていて安心。
前作の子供達がとてもとても好きで、中年の彼らがどう変わってしまっているのかと、大人になる現実味を痛いほど叩きつけられるんじゃないかと、少し不安だった。そんなの杞憂だった。
回想シーンとして前作の子達にも会えて嬉しいよ。
青春の再会と相変わらずの面々に泣き笑いするも束の間、赤い風船と共に忍び寄る不穏。
トラウマを刺激し、ぶっ飛んだ造形センスと豊富なアイディアに溢れる恐怖現象が好き。
対象が大人になったことで幻覚感は増してしまっていたけれど、それでもやっぱり怖いものは怖い。
アトラクション的で楽しーいやつ。
一番好きなのは全裸ババアかな。
シンプルに子供が喰われるのも良い。もっと噛み跡を、可愛い顔面がぐちゃぐちゃになったところをしっかりと見せておくれ。
不衛生すぎるゲロ吐きクソジジイも嫌だ。好き。
ただ、その中身は色々あれども、恐怖遭遇のパターンは一辺倒なのでどうしても「慣れてきた」と思ってしまうのは致し方ない。
一人一人にフォーカスを当ててくれる丁寧さと優しさに感謝しつつ。
クライマックスに近づくにつれて、ホラーというよりもピエロぶっ殺アドベンチャーになってしまうストーリー。
いいよ、いいのよそれで。ワクワクしたよ。奮い立ったよ。
大人になってもなお、いや大人になったからこそ、立ち向かわなければならないモノを描いた作品だと思うから。
物理的攻撃には強いのに精神的攻撃にめっぽう弱い、ガラスのメンタルを持つペニーワイズ。
ギャグとしか思えない最終形態には笑わせてもらったけれど、「みんな大きくなったなあ」の言葉に切なくなった。
27年おきに律儀に現れて悪いこといっぱいして偉いよねえ。よしよし。
犠牲と確かな友情に咽び泣いた。
年月が経って変わらないもの、変わったもの、乗り越えなければならないもの。
成長譚であり、冒険譚であり、青春のやり直しであり、人間ドラマであり、ホラーであり、ファンタジーである。
色々詰め込み、泣いて怖がって笑って楽しめる良い作品だった。
先住民要素がなんだか浮いて感じたけど、まあいいか。アドベンチャーだし。
唯一デリーに残ったマイクの桁外れた行動力に感服。
後悔と決別して過去をぶちのめすビルに胸熱。私はバッドエンドも大好きだよ。
臆病すぎたスタンリーのくれる言葉が切なく、嬉しかった。
ベバリーの囚われ方は最初とてもしんどかったけど、選択の先があまりにも良くて安心した。
まさかのイメチェンでバリバリのイケメンになっても変わらないロマンチストのベン。ビデオ会議の下半身が好き。
リッチー&エディの超絶お喋りマシンコンビはもうたまらなく大好き。永遠に下らない掛け合いをしていて欲しい。
いま友達でいる人達と、これから何十年経っても友達でいられますように。
みんなみんな大好き。
僕たちずっとLOSERS=LOVERS。