劇場公開日 2018年12月21日

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「Shallowまでは素晴らしいのだが尻すぼみ」アリー スター誕生 brigambさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5Shallowまでは素晴らしいのだが尻すぼみ

2019年1月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

皆が言うように、レディガガの演技は素晴らしい。
ミュージシャンとしてはエゴむき出しでパフォーマンスするレディガガが、ここでは夢は持ちつつも表舞台に出ることをほとんど諦め、片隅で生きようとする女性アリーをリアリティを持って演じている。
小さなことに喜び、怒り、怖れ、そんな一つ一つの動きが実に繊細で引き込まれる。そこに強大なエゴは全く感じられない。
これまで彼女のことを見た目のこけおどしに比べて中身は新鮮味に乏しいアーティストと見ていた私には驚きだった。

Shallowを初めてジャックの前で歌ってみせるところ、そしてそれをジャックが気に入り半ば無理矢理舞台に立たせてデュエットさせるところの音楽的カタルシスは半端なく、おもわずなみだがほほを伝った。
ガガは歌だけでこんなに場を圧倒させる力を持った卓越したアーティストであることを今更ながら知った。

が、ここから先、盛り上がりに欠けるのである。

ジャックはこの物語が始まる前から酒及び薬に依存しているようなのだが、それは何によるものなのかがあまり描かれていないように感じた。そのため必然性が無い。
なので、落ちていく過程でも、なぜそうなるかの説得力が無く、何やってんだ?と思ってしまった。

一方のアリーは、敏腕プロデューサーに見出されたのはよいものの、まるっきり音楽に対する経緯はなくひたすら現代的なショウビズのトレンドに即した音楽をさせるだけで、元々アリーが持っていたはずのリアリーは見る影もない。
映画のストリーではそれによって成功を収めグラミーの新人賞獲得まで登り詰めるわけだが、個人的な好みではこんな手垢にまみれたポップミュージックのどこに魅力があるのだろうと白けるばかりだった。

かっちりとしたフォーマットがある映画の4度目のリメークであるためそのプロットから大きくハズせられないという制約もあったのだろうが、それぞれの上昇・下降する中での葛藤や二人の軋轢に関する描写も乏しかったように思う。結婚までしているのに、描写が通り一遍で、これといった衝突もなく、アリーの成功や大きくなり、ジャックの没落やさらに進む。

結局この二人の関係性は、出会った時は派手な閃きがあって引かれあったけど、そこから先は惰性で続いているだけなのだろうか。

あとはブラッドリー・クーパー演じるジャック・メインのキャラクターがよく分からなかった。

brigamb