劇場公開日 2018年4月14日

「観終わったあとに無表情になる。 そしてその評定のまま”頑張らねば”って少し励まされる。じんわり良い映画。」心と体と kizkizさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0観終わったあとに無表情になる。 そしてその評定のまま”頑張らねば”って少し励まされる。じんわり良い映画。

2018年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

怖い

知的

がっつりラブストーリーかと思いきや、ヒロインの人間成長的な側面も強くて良い意味で裏切られた。愛だけではない。

前半は食肉処理場の生理的な不穏さと共通して見る夢の謎/ミステリーな要素の緊張感でひっぱる、がめちゃくちゃ惹き込まれるわけではありませんでした。
しかし中盤からヒロインのマーリアが変わっていく……いや変わろうとしていく描写が始まってからが素晴らしい。

マーリアは人とのコミュニケーションのとり方がわからない傾向がある。前日に会話のシミュレーションをしたり、ルールから逸脱できなかったりする。
そんな自分の個性をしっかり認識して、人に相談して、自分で変えようとして変化していく。その様子がステキ。

他と違う人だって、それを認識して努力してるんだ。そのために人に相談してもいいんだ。
そんなことを教えてくれる映画。

変わっている人をシリアスとコミカルを含みながら描くのはNHKにようこそ!を思い出した。
ただシリアスとコミカルのバランスは反対かな。本作はシリアス/アート的な側面が強い。
ここらへんが日本と海外の映画/エンタメの違いだなぁ。邦画ではこんな作品にはならない

ラストの朝のシーンの意味は……なるほど、人生ですな。ヨーロッパ映画らしい。

昼のシーンが多い前半から夜のシーンが増える後半。なんだか映画全体で1日だった感覚。
人生全部じゃなくて、人生のちょこっとを切り取った物語なのかも。

ラブストーリーであるし、”人生”、”生きるってこと”はどういうことなのか教えてくれる映画。生きづらく感じてる人ほど響きそう。

ポスターなどの印象ほどは重い/暗い作品ではなかったです。軽い作品でもないけど;そういう意味では人生ここにあり!にも近いかな。

あと夢に現れる鹿の神秘性には目を奪われる。鹿の顔ってすごいな。神様みたいだ。目と毛並みを見ているだけで体の血がドクっと脈打った。
あと演技が完璧。CG?

kizkiz