「ゼロ年代前半の香港映画の雰囲気」29歳問題 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
ゼロ年代前半の香港映画の雰囲気
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舞台は、2005年の香港。
クリスティ=ラム・ヨックワン(クリッシー・チャウ)は30歳目前のキャリアウーマン。
社長からの信任もあってバリバリ働き、長年の恋人もいる。
そんなある日、アパートの大家から、部屋を売ったから出て行ってほしいといわれるは、昇進してオフィスのトップになるは、と、てんてこ舞い度は上がるのみ。
アパートを出て、仮住まいの部屋は、同い年の女性ウォン・ティンロ(ジョイス・チェン)が住んでいる部屋だが、彼女は一か月のパリ旅行に行っている。
どんな女性かと気になったクリスティは、ティンロの日記を無断で読んでいく・・・
といったところから始まる物語で、対照的なふたりの女性の生き方が交互に綴られていきます。
レコードショップで働き、ちょっとしたことに感激するティンロの姿に、少しずつクリスティが変わっていく・・・という物語はそれほど目新しくありません。
けれど、クリッシー・チャウ、ジョイス・チェンのふたりが魅力的なので、飽きることはありません。
終盤、無邪気なティンロの無邪気な理由が明かされますが、観客としては、まだまだどうにかなる、そういう気持ちになります。
そして最後の最後にふたりが出逢うシーン。
これ、元は舞台劇だったのね!と思う大仕掛けがあり(鈴木清順の映画に似たシーンがあるが)、へへへへ、と微笑ましくなりました。
エンドロールで、香港でロングランを重ねた舞台の様子も写され、なかなか興味深かったです。
なお、監督のキーレン・パンは、その舞台劇で、主役ふたりを演じ分け、演出もしていたひとです。
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