ダリダ あまい囁きのレビュー・感想・評価
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【美貌と心に残る歌声で世界中で愛聴されたフランスの歌姫ダリダの波乱の人生を哀切に描く】
40代以上であれば、多くの人が聞き覚えがあると思われるアラン・ドロンとのデュエット”Paroles Paroles 邦題 あまい囁き”を代表に”バンビーノ””愛するジジ”などで1950年代半ば~1970年代に一世を風靡したディーバの半生を哀切なトーンで描き出した作品。
ミス・エジプトの栄冠に輝いた若きダリダはスターを夢見てパリにやってくる。そして、数々の男性と恋に落ち、別れを繰り返しながら、スターへの階段んを上がっていくダリダ。だが、この映画の彼女の姿はどこか寂し気であるし、暗い影があるように描かれる。実際、2番目の年下の恋人 イタリア人歌手ルイジや、9年も付き合った3番目の恋人サンジェルマン伯爵と名乗るリシャールは自殺している。
この事実だけを考えると、ダリダがファム・ファタールの様に思えるが、この映画では彼女はそのようには描かれない。
<私は、ダリダは 心から男を愛し、尽くし、そしてある時、ふっとその思いが冷めてしまう悲しい性を持つ女性であったのだろうと思った。>
一人の美しい歌姫の波乱の人生を丁寧に描き出しており、非常に面白かった作品。
<2018年8月2日 映画製作の盛んな都市のミニシアターで鑑賞>
愛は波のように・・
ニールス・シュナイダーか!
ダリダの楽曲に依存した、ダイジェストのような作品
ダリダの人生は、悲劇に塗れた壮絶なもの。恋多き女で、才能あふれるシンガーで、人生がそのままドラマである。これは確かに映画にしたくなる人生だし、映画化した人の気持ちも分からなくもない。ただ誤算があるとすれば、あまりにも壮絶すぎて、2時間の映画にするとただのダイジェストにしかならないということだろう。
ダリダの歌声は素晴らしく、音楽が流れるたびに思わず心震えるほどなのだが、如何せん、物語と演出と芝居がそれについていかない。同系列作品の「永遠のマリア・カラス」や「エディット・ピアフ 愛の賛歌」などと比べてもだいぶ見劣りがする。
とにかくストーリーがきちんと描けていないため、登場人物全員がとにかく極端な行動をとるだけの人たちにしか見えなくなってくる。次の展開へとつながらないぶつ切れのようなシーンだけでは、登場人物たちの思考や沸き起こる感情が描き切れておらず、すべてが唐突に思えてしまい、そういった言い足りなさを補うために垂れ流されるダリダの名曲たちの使い捨て感も実に無粋なやり方で、歌を一曲流せばそのシーンが成立するとでも思って手を抜いたかのようだ。ダリダの隣で次々に命を絶って行った男たちの存在も、ダイジェストの一部でしかなくなってしまった。
唯一この映画を見て収穫があるとすれば、是非ともダリダのアルバムを聴きたいと思わせてくれたことだ。聞き覚えのある楽曲も多数ありつつ、初めて聞く曲もいずれも素晴らしい楽曲ばかりだった。なんなら、ダリダがリリースしたアルバムや楽曲にこそ、この映画が描き切れなかったドラマが吹きこまれていそうな気がしたほどだ。この映画自体にはさほど感心しなかったが、ダリダのアルバムは必ず聴こうと、そう思いながら映画館を後にした。
愛の力がすべて
華やかなのに切ない人生
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