劇場公開日 2018年11月16日

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「もしわたしがこの子供なら。」人魚の眠る家 いちこ。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0もしわたしがこの子供なら。

2018年11月24日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

脳死、臓器提供、延命治療。価値観はそれぞれなのでこの映画の捉え方や感じ方も本当に多種多様と思いますし、正解も不正解もないと思います。

篠原涼子さんの迫真の演技。とても良かったです。何度も涙しました。わたしは子供はいませんが、この話がもし自分だったらと自己投影してしまうほど、引き込まれました。もし自分なら、わたしもきっとこのお母さんのように必死にわずかな希望にすがる思いで介護をしたと思います。

でも映画を見ながら、これは本当に子供のためなのか…ということもずっと考えていました。
もし自分がこの子供だったら。だいすきな母親と突然死別してしまったことに何より動揺し、寂しく思うでしょう。そんな時に母親が必死に自分はまだ生きていると言ってくれて、あんなにも懸命に介護し寄り添って、たくさんの時間を過ごさせてくれたことを、わたしがこの子供ならきっと嬉しく思うかもしれないと思いました。
他人が何と言おうと、天国に行く前に、ああして愛情を感じれた時間はお母さんにとっても子供にとっても、大切な必要な時間だったのではないかと最後は思いました。
( ただ、このお母さんにとっての子供はひとりではなく、もうひとり弟がいることも忘れてはいけないですが。)

命にまつわるあらゆる選択肢が正解か不正解かは、他者が決めることではないと思いました。やっぱり本人や家族にしかわからない思いがある。いちばん近くで生きてきた人にしかわからないことがあるから。

命とは、生きるとは。本当にたくさんのことを考えさせてくださる素晴らしい作品でした。

いちこ。