「メンチカツを素手で食べる人がありますか!」人魚の眠る家 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
メンチカツを素手で食べる人がありますか!
クリックして本文を読む
いや、川栄の出番と来たら食ってるばっかりやん、と思ったら、後でキッチリと回収されました。小ネタ振って地味に拾うだけじゃ無く、隠されていた真実の暴露はあるわ、プロローグとエピローグで一ストーリーと言う「両端折りたたみ」はあるわ。ボリューム感満点の東野原作を、発散させることなく几帳面につなげてました。ちなみに川栄さんの芝居、良かったです。
本編は、プロローグから「あざとさ」全開。単純にダサい画と光の映し方。子ども使って泣かしに来るわ、篠原涼子の芝居はくさいわ、松坂慶子は年齢不詳のイモ女優やし、もーどうなるんやこの映画?
娘の死を受け入れない薫子と星野が常軌を逸するランデブーにはまるあたりから物語は暗転。ダークなストーリーに転じてからが、この映画の本番ですね。見ごたえは、あった。
一月余りの間に「あさがくるまえに」と「子どもが教えてくれたこと」を見てしまったので、余計にこの映画のテーマである「生と死と臓器移植の問題」が重くのしかかって来ました。愛するものの死を受け入れると言うことの難しさは、脳死となれば尚更のこと。まだ小さなお子さんの親御さんには、ずしりと重く感じられる話だと思います。
エピローグは原作の方が良い。星野の研究が実用化されていることを示唆してるのと、「屋敷の跡地」に立った少年が何かを感じる、ってとこが映画に無い要素です。
映画に感動した、と言う方は原作も読まれてみてはいかがでしょうか。静かに染み入るような、くらーい哀しみと確かな希望を感じさせてくれる良作です。
コメントする