「実際だったら怖い、映画だから面白い! THEママ友バトル!」シンプル・フェイバー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
実際だったら怖い、映画だから面白い! THEママ友バトル!
日本でもTVドラマやワイドショーなどの題材になる“ママ友”。
その付き合い方のあれこれは、万国共通。
そんな複雑なママ友関係を、スリリングとブラック・ユーモアを巧みに織り交ぜ、極上のミステリー・エンターテイメントに。
全米公開時から気になっていたのだが(理由は後ほど)、期待以上の面白さだった!
家事や育児などのブログをやっている平凡な主婦ステファニーは、子供たちを通じてキャリアウーマンのエミリーとママ友に。
何もかも対照的な2人だったが、お互いの秘密を打ち明けるほど親しくなる。
アナ・ケンドリックとブレイク・ライヴリー。
好みの女優2人の共演。見たかった理由というのが、これ。
このキャスティングも見事。どっちがどっち?…なんて考える必要も無いくらい、役柄もイメージも各々にぴったり。
キュートなアナは、明るくお人好しのステファニー。着る服もまるで子供のよう。
親しみ易いが、その“いい子ちゃん”振りがかえってちょいとウザい。アナの好演でそのバランス加減が絶妙。
圧倒的な美貌のライヴリーは、クールなエミリー。家の中でも着る服はモデルのよう。
強気勝ち気な性格で、生き方も考え方も何もかもカッコいい。が、何処かミステリアス…。
対照的ではあるものの、それなりに自分の人生を満喫している2人。
が、腹を割れば、不満や秘密を秘めている。
夫を亡くしたステファニー。夫だけじゃなく、仲の良かった義兄も。
同乗した2人は事故死し、その原因は自分にあるのではないかと。
エミリーが問い詰めると、実はステファニー、義兄と…。
作家で大学講師である夫とラブラブのエミリー。が、実際は…。
スランプ中の夫や仕事面で不満が蓄積。
昼からマティーニを飲み、黒い噂も多々。
また、写真を撮られる事を非常に嫌う。
こういう場合は大抵…。
そんなある日、子供を任せ出張に行ったまま、エミリーが行方不明に。
親友の行方を追うステファニー。
その甲斐あって、遂に見つける。が、湖の底で、遺体となって…。
ミステリーあるある。真っ先に疑い掛かるのが、ラブラブに見えて実際は関係ぎくしゃくしていた夫。多額の保険金も怪しいが、夫にはアリバイ有り。
そして、ステファニー本人。これまで彼女が語ってきた事は嘘偽りで、実は…って事はミステリー作品によくあるが、彼女の動向は本物。
すると、何かしらの事件に巻き込まれたか、事故か、自殺か…?
妻/母を亡くしたエミリーの夫と子供の力になるステファニー。
傷心の親友の伴侶と…定番の関係に。
ある日エミリーの子供が、母親らしき人物を見掛けたという。
それ以降、ステファニーの周りで、エミリーは実は生きている!…と思わす陰が。
エミリーについて調べ始めると、徐々に驚くべき過去や本性が…!
ネタバレチェックを付けてオチに触れてもいいのだが(一応ネタバレチェック)、やはり結末はご自身の目で。それがミステリーの醍醐味♪
少し触れるとしたら…、
はっきり言って下世話なストーリーで、見終わってしまえばステレオタイプ。『ゴーン・ガール』のようでもあり、『ガール・オン・ザ・トレイン』のようでもあり…。
でもそれを、実に面白く捌いている。
書き出しでも触れたが、スリリングとブラック・ユーモアの織り交ぜ方が本当に絶妙!
シリアスかと思ったらコメディ要素(特にアナの類い稀なコメディエンヌとしての快演)が作品を軽快なものにしている。
そのコメディ要素も邪魔にならない程度で、本筋はサスペンス・ミステリー。
謎めいたエミリーに終始翻弄され、明らかになっていくエミリーの過去と物語の顛末にグイグイ引き込まれる。
音楽の使い方も巧く、展開も快テンポ。洒落てて、スタイリッシュで、ちょいブラックで、ユーモアもいっぱい。
コメディが多いポール・フェイグ監督がミステリーに初挑戦。手腕は上々!
二転三転。どう相手を出し抜くか、翻弄されているのはどっちか…?
○○○○・ファッカーvs○○○○・キラーの“ママ友”バトル!
本当に女って、強かで怖い…。
もし近くでこんなママ友いざこざがあったら…?
是が非でも関わりたくない…。
好みの女優を眺めて、ミステリー映画として見るのが一番!