ロンドン、人生はじめますのレビュー・感想・評価
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恋愛も人生も、いつだってやり直せる
温かい陽だまりの中にいるような、落ち着いていて、とても居心地の良い映画だった
ロンドンで暮らすエミリーは、夫が多額の借金とたくさんの請求書を遺して亡くなってから1年
そろそろ首が回らなくなってきた彼女は、家の目の前にある公園にホームレスの男性 ロナルドが住んでいることに初めて気づき、彼のことが気になり始める…
これは、高齢者のエミリーとロナルドが出会って恋に落ちる物語。
そんな彼らを観て、
幸せなことも、悲しいことも、辛いことも乗り越えて、一人の人間として独立した人同士だけに分かり合える領域っていうのがあるんだなと思った
他の人たちには、決して割って入れないようなそんな領域
それは、日本語で言えば「熟年愛」とか、「老いらくの恋」とか言うのかもしれないけど
彼らの恋は、その日本語から想像されるような 湿っぽいものではなく
もっとカラッとして、熱愛というよりも、人間同士、生涯を共にできるパートナーに出会ったような感覚だった
私はまだまだその領域には入れないけど、
彼らのその自立した人間だけに通じ合える感覚が、とても居心地良かった
そして、もしも、人生を間違えたと思ったら、たとえ何歳であってもやり直せば良いとも思える素晴らしい映画だった
人生にとって大切にしなければいけないのは何か
お金か、仕事か、家族か、それとも他にあるのか
日々の忙しさに追われ、つい自分自身のメンテナンスをすることを忘れがちだけど、たまには立ち止まって
「今の人生に嘘はないか」
と考える時間は、とても大切なことなのだと思わされたステキな映画だった
そして、何より、こうして「目標とすべき」大人の女性が主人公の、こんなステキな映画が作られるイギリスがうらやましいと思った
人生は生涯現役
若いうちは予定調和を目指して頑張るのに、歳を取ると予定調和から抜け出せと言われる。予定調和じゃない人生というのは、良くもあるし悪くもある。人生ってやつは本当に面倒くさい…。
ダイアンキートン演じるエミリーも、NYからロンドンにある高級住宅街に移住し、家族や友達に囲まれて順風な毎日を送っていたが、夫の死去がきっかけで、見えなかった問題だったり、見ないフリをして置いてきた問題と向き合うこととなる。風変わりな隣人ドナルドと出会ってしまったことで、当たり前になっていた毎日は違っていたと気づいたエミリー。社会的身分が全ての英国において、他人に左右されず、お金を持たずに生きている人というのは、さぞや風変わりに映るだろう。こんな人が居たら誰だって好奇心が掻き立てられてしまう。『風変わり』を受け入れるかどうか、というのはまた別の話だが、しかし、こういう次元の生き様で社会への風刺を表現した人が実際にいたというのは、とても斬新で面白い。
人生のターニングポイントというのは誰にも訪れる。その時によぎるのは全ての流れが『変わる』という、うっすらとした予感。でも受け入れることは勇気とパワーが要る。
自分らしく生きたいと思う一方で、常軌を逸することに恐怖を感じる…。人間らしさとはそういうことかも知れません。
エミリーは70代でした。でも年齢の偏見よりも自分の正直な気持ちを受け入れたのです。
人生、紆余曲折あった人にこそに観て欲しい映画です。そして自分探しの途中にいる人にも。きっとダイアンキートンに恋をして、頑張っているエミリーに共感することと思いま
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