劇場公開日 2018年6月1日

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「リン・ラムジー作は精神にクる」ビューティフル・デイ foxheadsさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0リン・ラムジー作は精神にクる

2018年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

リン・ラムジーと言えば、「モーヴァン」「少年は残酷な弓を射る」など、救われない心を救済するかと思わせて突き放す作風が散見されるが、そういった浮遊する心への監督の鋭い眼光がピークに達したと言えるの今作だと思う。淡々としていながら、過激で残酷で、でも魂の救済を渇望する人々を見つめる視線には、微かな優しさも感じられる。少年期のトラウマを引きずりながら、満たされない現在を殺伐と生きているだけの男。人助けの様だが、実際には人殺しという家業に身を投じている彼は、大人にはツラく当たるが、少年少女にはどこか優しい。そんな彼が、大人の勝手な欲と汚さにより、あまりにも過酷な境遇に晒された少女と出会い、何かを共有する事によって、彼の精神は満たされたのだろうか...そのものズバリな邦題(原題は全然違う)に希望を見出したい。PTA作品の常連、すっかり映画音楽作家として成熟したジョニー・グリーンウッドの耳障りなまでに鋭角な音楽は、心に突き刺さるようで痛くて素晴らしい。ホアキン然り、ダイアン・クルーガー然り、昨年のカンヌの審査陣はちゃんとしてたんだなあ、と納得。

foxheads