「怪獣総進撃やゴジラファイナルウォーズに金をかけるとこうなる」ゴジラ キング・オブ・モンスターズ ヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
怪獣総進撃やゴジラファイナルウォーズに金をかけるとこうなる
50年以上主演を勤めハリウッドでも活躍した日本人俳優は私が知る限り高倉健さんとゴジラだけである。2014年に健さんがご逝去された今、ゴジラだけが世界で主演を張れる日本の映画スターだろう。その日本を代表する映画スター、ゴジラのハリウッド第三作目。
今回の映画、プロレスに例えると分かりやすい。新日本怪獣プロレスの絶対エース、ゴジラとタッグパートナーのモスラがこちらも絶対ヒール、キングギドラ、ラドン組と戦う海外興行を打ちましょうと。そして、ゆくゆくのギミックとしてこちらもWME(World Monster Entertainment)のエース、キングコングと戦いましょう!という流れである。
さてゴジラの海外興行だが、ギドラの垂直落下式ブレーンバスターやモスラの地獄突きなど大技の連続で繋ぎのワザが無い。非常に大味な戦いだった。CGで自在に動かせる弊害かスピーディーに動かしたい気持ちは分かる。が、怖くないのである。ここら辺、庵野さんはゆっくり動く恐怖みたいなものが分かっているので動かないゴジラを怖く見せることが出来た。
また、止め画で荘厳にバーンと見せる場面が連続してしまい途中からその演出飽きちゃった。
CGで圧倒的な画を見せてくれるのはいいが、頻繁に続くとお腹いっぱいになってしまう。
あとこれは文化の違いだがハリウッドはやっぱりゴジラ・怪獣<人間、またはゴジラ・怪獣≒人間なのである。声の模倣でコントロールできたり、格納基地だったりハリウッド版ゴジラは制御できてしまう描写がある。そのシステムは瓦解するが違う!全然、違う!ゴジラはそもそも制御できねーんだよ!この辺、キリスト教で戦争による本土攻撃や地震がない文化圏だと分かってもらえないのか。人間が抗えない圧倒的なものなのだゴジラは。人間(というか文明?)がゴジラを制御できる描写を入れてしまうと今回の映画のように幾ら荘厳な神々のように演出してもちっぽけに見えてしまう。
そしてドラマパートについて。スターウォーズの時も思ったのだが人類の殺し合いの起因が家族喧嘩というのが本当にムカつくのだ。お前ら家族の不和に世間を巻き込むんじゃねーよという怒りがあって本作も然り。ある一つの家族の問題の裏で、描写されなかった何千万、何億という死があるはずなのだ。
この話はお母さんの拡大自殺の話だ。お母さんは子供を失った時点からいつ死ぬかずっと考えていた。そして子供がいないこの世界を道連れにして死のうとする話である。
多分、エメリッヒの2012みたいに脅威の近くに居た家族としてやりたかったのかもしれない。が、今回は脅威の原因がこの家族である。全く応援出来なかった。(この辺ギャレゴジはまだ家族の配置うまかった。)
あとねー、女の子がギドラとゴジラ呼び寄せるでしょう…。ゴジラ映画で子供が活躍するパート萎える説…。
散々書いてしまったが期待値高かったから色々思ってしまった。この映画の良かったところを話したい。
モスラがカッコいい!やっと、やっとである!モスラ、こんなカッコよかったっけ!スゲーよ!
あとキングギドラ!元々、CGで動かすべき骨格である。CGで奴を動かすとこんなに派手で強いのか!
あとゴジラvsデストロイアの時、小6だった私にあのラストのゴジラは汚いだろう。それでギドラと戦ってくれるのだからテンション上がらない訳がない。
昔、東宝がやってた娯楽路線のゴジラはハリウッドにお願いして文化的側面を持つ怖いゴジラは日本で作るって流れになって欲しいなと思いましたね。
最後に芹沢博士があんなことに…。次作からあの中国人博士にバトンタッチだとレジェンダリーが中国企業に買収された時に危惧してたことが現実のものになったな…。