「自然の摂理」ゴジラ キング・オブ・モンスターズ @Ryota_daze27さんの映画レビュー(感想・評価)
自然の摂理
「GODZILLA KING OF THE MONSTERS」
ご都合主義云々は枝葉末節なのだろうか。
まるで地球に意思があるかのような設定も面白い。が、自然の摂理とはそのようなものに近似しているのかもしれない。
とってつけたかのような人間ドラマは置いておいて。さてでは、ゴジラが自然の象徴なのだとすれば時として人に恵を与え、時として災害を引き起こす。その点ギドラは侵略者である。両者の対峙。全ての均衡とは必然でありその勢力は拮抗する。人間が介入する余地など何処にもなく無力である。ならばゴジラは調和のために現れて戦うのだろうか。もう一度考えてみて欲しい。自然の恵にしろ災害にしろそれらの全ては結果に過ぎない。我々人類の受け止め方次第なのである。人類を救うこと、襲うこと。こうした行動が目的化してはならない。あくまでも結果的にそうなった、というだけの話なのである。そうして調和が保たれた時。その時はゴジラ(自然)そのものが原因になり得るのだ。ただ、今作では監督はどうもゴジラを神的な存在へと昇華したかったらしく、自然災害を神話として伝えてきた人類の歴史を遡れば理解に苦しむこともないのかと思える。
また、彼らを歴としたキャラクターとして描くのであるとすれば、それはそれで怪獣らが無機質に感じられる。行動の動機を人間にベラベラと説明させるのは粗。
しかし、そういうことではない。ゴジラの行動原理を人間は理解する必要もなければ理解することすらできない。自然とはそういったものであり、抑圧するでもなくされてもならない。何より共存せねばならないのである。そんな明確なテーマと飽きることをさせない展開、圧倒的な映像美は殊勝。怪獣各々神々しく壮麗。享楽を頂戴しました。