「前宣伝で膨らんだ期待値はバブル崩壊したけれど、主演2人のファンには楽しめそうですよ」億男 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
前宣伝で膨らんだ期待値はバブル崩壊したけれど、主演2人のファンには楽しめそうですよ
朝ドラでヒロインの相手役を果たし今では実力派人気若手俳優の佐藤健と、やはり大河ドラマで再ブレイクを果たした高橋一生とのダブル主演の本作となれば、私の本作に対する期待値も勝手にバブルってしまいましたが、見事にバブルは崩壊。でもそれは勝手に期待値バブルが肥大化しただけかも知れません。佐藤健と高橋一生ファンの方達には充分楽しんで頂ける作品ですよ。
今の人気俳優の2人を起用する事で、海外ロケも有ったのでしょうし、前宣伝を沢山行っていた本作なので、本当に期待値が勝手にバブリました。藤原竜也のファンの方にも面白く楽しんで貰える作品かと思います。
只予告編では、何せお金がテーマなので、大金(あぶく銭)を手にした人間はどんな風に変貌を遂げるものなのか?と言うお金に対する考察や、それに対する映画なりの明確な答えが描かれる物だと勘違いをしてしまっていた私にとっては、少々説得力に欠け、映像的に大金を得た人が狂ってしまう様を映像的に笑って楽しむ要素を期待していたが、ビジュワル的にもチープでした、残念です。
バブルの時代は遠く昔の事で、平成不況が長らく続いた今の時代に、いよいよ平成も終わりと言うこの時期に急に、仮想通貨なる「ビットコイン」なる実態の無い仮想の世界に群がる若い人々の姿が社会現象化し、そこに群がる「億り人」なる拝金主義に溺れる若者達が現れた、昨今の日本。そこに存在する人間模様を何かを描き出してくれるのかと期待していました。でも不発に終わりました。
私は、今は亡き森田芳光監督作品で2009年公開の「わたし出すわ」と言う奇妙なタイトルの映画の方が、大金を得る事で人間が変貌し、人間関係にも変化が生まれ、その事で葛藤するヒロイン像を小雪さんが演じていたけれど、こちらの作品の方が本作よりお勧めです。
多分「わたし出すわ」は森田氏のオリジナル脚本だと思いますが、人々の変化するエピソードを始め、映画として笑える、画的にも面白みが有る作品だったと思います。
森田作品では小池栄子が出演していて、彼女がとても面白いキャラを醸し出していました。そして、ラストも森田作品はとても気持ちが温まる終わり方を用意してくれていました。
是非観てない方はそちらもレンタルして観て欲しい作品です。
本作で唯一素敵だなと、幸せな気持ちにさせてくれたのは、佐藤健演じる一男の妻、万佐子を演じた黒木華の存在感。
彼女の心は何にもぶれない強さと優しい愛に包まれていると言う感じが快かったですね。
そして一男と万佐子との娘を演じていた子役も自然で巧かった。
川村氏が執筆された本作の原作は未読の為、本来の話の面白さが何処まで、大友監督が描いてくれていたのかは判断が出来ない。だが、佐藤演じる一男、妻が万佐子、高橋一生の役名は九十九、そして九十九の会社の元同僚の名前は、千住と百瀬、みんな数字が名前に当て嵌めてある、これをみるときっと原作はコミカルできっと面白いのかな?と想像した。
お金に縁の無い借金男の名前が一男で1、百瀬も千住数字が関係するが、只のエピソードの一員なので余り主人公とは縁深くないのでこの数字は関係が無いとして、妻はお金の有無に関係なく愛溢れる優しい妻であり、母なので万佐子が万。では、一男は1で九十九をプラスすると百になるので、この作品は、九十九の99%の一男に対する片想いの気持ちを探る物語だったのか?と勘ぐるのは少々考え過ぎか?でも2人の数を足すと百で完成される数字だから??とBLの香りを感じた。