「兄妹の記憶をメタファーとする構成が良かった」未来のミライ isukeeさんの映画レビュー(感想・評価)
兄妹の記憶をメタファーとする構成が良かった
ラスト10分くらいに発せられる(空から、若かりし曾祖父母を見つめるシーン)
「こんな風な、ほんの些細なことが幾つも積み重なって今の私達を形作っているんだ」
っていうミライちゃんの科白!!
これが本作のキーメッセージだったと思う
連綿と繋がる家族の歴史と記憶、
これらを忘れず理解することによって
家族の絆となるって細田さんは本作で訴求したかったのかなって感じた
くんちゃんに降りかかる時空を超えた家族との接点と交流、
あれは大きく成長したくんちゃん(高校生くらいかな)とミライちゃん(中学生)の二人が共有しているであろう心の深層にある幼少時の記憶や心象風景をメタファーにして、くんちゃん4歳・ミライちゃん0歳の時代に遡って描いてた
10数年後の記憶ベース(両親から聴いたであろう)でストーリーを構成して
4歳のくんちゃん視点で曾祖父母・祖父母・両親の描く手法は斬新な感じがしつつも 慣れると すっと頭に入ってきた
育児の苦悩と喜びの描写がとにかくリアル、赤ちゃん返りの様子は
我が長女が二女に嫉妬した時のそれと一緒で共感することばかり
嫁さん、あんな感じかなとか 自分もあんなダメパパだったねと省みることが多々あった
今作のメッセージを受けて、親は子に対して 丁寧にたくさん 家族の話をすることがとても大切って思い直した
恐い電車は、迷子になったら怖いところに連れていかれるよ!っていう母の訓示が彼の心に影響した結果の描写なんだとうと思うし、
曾祖父のストーリーに感化されて自転車へ挑むシーン、
あれも両親がくんちゃんへ話したのだろうね、その結果 くんちゃんにチャレンジする心意気が芽生えたのだろう
話すこと、伝えること、記憶すること、絆を育むこと
これらのエッセンスが詰まった佳作