「散らかってる…もん!」未来のミライ 土間土ワーカーさんの映画レビュー(感想・評価)
散らかってる…もん!
【感想】未来のミライ
簡単にまとめると、主人公の少年くんちゃんが過去に行って肉親の過去(肉親の成長)に遭遇したり、未来からきた未来ちゃんや精神世界内で愛犬と戯れることによって、くんちゃんが成長していく話。
ではあるが、余程余裕が無い人でなければ、くんちゃんの言動が腹立たしく思えてくる。それは子供なりの所謂あるあるではあるが、それが何度も繰り返されるのと、新人女優の未熟な演技によるところが大きい。
上記を踏まえると、ベストな視聴者はご老人なのではないかと私は考える。幼い子供が起こす癇癪や、それに対応する両親と夫婦間の関係の変化。そして、過去に至っては戦後の混沌とした日本で強く生きるひいおじいさんをはじめとしたくんちゃんの家族の若き頃、つまり昭和の時代。まさしく老人が懐かしみ、楽しめる内容ではないか。もしかしたら細田さんは家族で観れるドキュメンタリーに近い何かを作りたかったのかもしれない。そう考えてると、はじめに見終わった後の混沌としたものがまとまってくるように思える。おそらく、いまいちだと思う感想が多いのは、監督のやりたい事とは裏腹に今までの細田監督の山のあるデジタルなイメージの内容(抽象的ぃ)を求められた
のと上白石萌歌を使わなければいけなかったという大人の事情があるからであろうか。
にしても、おそらく子供が飽きない工夫なのではないかと思えるが、シーンが突拍子もなくガラッとコロコロっと変わられると内容がごちゃついてくる。(まぁ途中、幼い頃のお母さんが「散らかってるとなんか楽しい」的な言葉を言ってたから、そういうことが言いたいんだったらそれはそれでいいのだけど…)
最後、家族を繋ぐ座標が家にある樫の木?が目印って言うのであれば、初めから樫の木視点とか入れて、それがくんちゃんの成長さらには家族の成長を見守っていた、とか細田ワールド的にするならば八百万の神的なものを題材にしてしまって家中の物にも魂があって家族を見守っているって形にすれば、愛犬の擬人化にも納得できるし最後に黄色短パンを吐き出す洗濯機も可愛く思えてくる。なんて妄想してみたり。
うまくまとまると傑作になりそうな惜しい作品という印象でした。