「スプラッタマウンテン」ミスミソウ 〓〓〓さんの映画レビュー(感想・評価)
スプラッタマウンテン
血まみれの女が包丁ふりまわす姿が好きな人には超オススメの一品である。
とにかくスッキリできる。
スッキリできるので序盤のいじめシーンは全身全霊で味わいましょう。飛ばしちゃダメですよ。
正直ミスミソウというワードと主人公の野咲を結びつけるには弱いし、DV気質のカメラ男子とか美容師めざし女子、担任の暗い過去など人物掘り下げも投げっぱなしな印象をうける。
たとえば妙子の『美容師を目指してた』『野咲のことが好きで昔仲が良かった』の2要素がこの映画では分離しているので、妙子が野咲の髪を切ってあげる、そして美しい髪を意味ありげに撫でる、みたいな回想を足したりすれば美容師の夢と野咲への思いに関連性が生まれ、その両方が砕け散る美しさが際立つんだけど、なんかそういうのがないので美容師の要素だけ宙ぶらりんになっている。
美容師を夢見てた子がナイフでズタズタにされた自分の手を見ながら「こんな手じゃハサミ持てないよ・・・」と嘆いて死んでいくシーン。マジで大好きだし『可哀想萌え』の真骨頂なのに、肝心の美容師のフリが弱いので「そういや目指してたんだっけ」にしかならないのである。勿体無い。
こんな感じで主人公以外は登場人物の内面や過去の説明が雑であんま効いてない。
ただ!!!!
序盤にも書いたスッキリ要素である。覚醒した野咲がいじめっ子を全員穀してまわるシーンがもうカタルシスが爆発しており爽快そのもの。気持ちよすぎ。腹かっさばかれた子がタイムっつってんだろうが! って謎のキレ方するのがめちゃくちゃ好き。
まあその復讐シーンもぶっちゃけ一番盛り上がるのは最初の女子3人をマッサツするところなので後半は尻すぼみなんだけど、穀しの描写がもう最後までいちいち大げさで言い方アレだけど楽しさすらある。
やり過ぎを通り越してるレベルで殴るシーンはひねくれた中学生がよく妄想するのを見事に再現してる感じだ。さいご百合の綺麗な映像で締めくくろうとしても無駄です。
ここまでやってくれるとさらなるカタルシスが欲しくなる。火事のインパクトが強いので復讐の気持ち良さは十分足りてるんだけど、いじめのシーンがもっと長ったらしくて陰湿だったらもっと気持ちよかったかも。
妙子は生きてましたね。でも原作ではここまではわからなかったから、私は映画のほうが好きかもしれない。「タイムタイム」と死んでいった男子のシーン、最初に殺された女子の「触らない方がいい感じ?」など原作に忠実で良かった。虐めのシーンをもっと楽しみたいとのこと、、ぜひ原作をご覧ください。