「狂気の中学生!でも」ミスミソウ じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)
狂気の中学生!でも
アマゾンプライムで視聴
いろいろな感想は仕方ないと思います。
まず、原作がグロい上に決してうまいとは言えない絵であることを考えると、そこから意訳して、あのような画面になったと思います。そこは、とても美しく、成功している。
特に、赤と白の対比
血の赤が映えるように、主人公山田杏奈には白いセーターと真っ赤なピーコートを着せたこと。本当は仲が良かったはずのいじめリーダー大谷凛花は金髪。更にルミとの対決時はブーツ以外は全身白のライダーがかっこいい。
殺人方法はかなり力技。
放火、撲殺、刺殺、ボーガンによる射殺、崖から転落して骨折(そのまま放置)、ハラキリ、木の枝で喉を刺す。極めつけは除雪車による轢死(ミンチ!)
スプラッターホラーなので、グロは仕方ない。
でも、そこに日本的な叙情があり、コメディには陥っていないことは褒めたいと思う。ハリウッドだったらもっとグロいか、キモいか、あっちの世界かして、作り物を強調するよね。
「嘆かわしい!」の山田杏奈はヒロインとしてとても良かった。
意志の強さを感じさせる眼差し。小柄だが色が白く脚も長い。
悲劇的だが諦観を含めた揺れ動く心情をよく表現していた。
「犬鳴村」にも出ていた大谷凛花、子役上がりの大塚れなもよかった。大塚れなは原作の絵とかなりイメージが近く、ブチ切れた狂気をよく表現していた。どこかで見たなあと思ったら、
男子チームは相葉(ちはやふるの須藤先輩:清水尋也)を含めて全員キモいのが残念。
今だったら少年法を盾に「どうせ、子供だから処罰も軽い」とか言いそうだけど。
でも、この時代(中学生が携帯電話を持つようになったころ)の中学生は、けしかけられるとかんたんに暴走してしまうような危うさを持っていた。その意味ではなかなかリアル。
スマホの時代だったら、アプローチが違うだろうな。
まず、いじめはスマホで動画を撮り拡散するというやり方。放火をしても、その場面を拡散するだろうな。精神的にじめじめと追い詰めるのが今風かな?
できれば
本人視点にするなどして、チリチリとした緊張感が感じられるとよかったかも。
今ひとつ
ゴミ置き場以外でも、かんたんに武器を得られてしまうこと。警察が無能なこと。そこかしこで死体が転がっているのに、誰も見つからないこと。わかりやすい放火なのに、犯人が捕まらない。ルミが妙子を襲うがとどめを刺さない。コウのサイコパス設定は必要だったの?
妙子は卒業式になぜ出られているの?
そもそも、閉校するんだよね。担任含め10人以上死んでいるのに、そんな余裕はあるのかなあ?などと疑問は残るが、言いたい事は伝わる。
原作と結末が違うことはある事なので、ハルカには生き残ってほしかったなあ。(死んだとはハッキリは言っていないケド)
全体的には、山田杏奈の表情と雪景色が印象に残る映画でした。