「現実感の無さを振り切るにはテンションが低い」ミスミソウ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
現実感の無さを振り切るにはテンションが低い
どんどん変わっていく人格や事の発端の真実など驚きのあるストーリーの展開は面白い。
ただ、文面で読むにはいいけど口に出すと不自然で浮きすぎたセリフや演技力の低さが気になり
全くの現実感の無さを振り切るには低すぎるテンションとテンポの悪さで、なかなか嵌れなかった。
凄惨ないじめへの復讐ということで、確かに冒頭からキツめのいじめシーンが続く。
やられてることは本当に酷いことで最悪であると分かっているけど、主人公野咲の悲壮や絶望がイマイチ心に刺さらず、共鳴できなかったのが一番残念。
前半で一番の肝となるべき家族への愛情もわざとらしすぎて逆に中途半端に思えてしまった。
日々生きるか死ぬかのスラムじゃあるまいし、中学生たちの戦闘能力の高さと殺人への抵抗感の無さは笑えた。
妙子と野咲は最初仲が良かったようでその頃を綺麗に写していたけど、それも腑に落ちない。
好きな気持ちを拗らせてのいじめの始まりと言いつつ自分に好意を寄せている流美には容赦なく嫌悪感を露わにしていじめさせているんだし美化しすぎでは。
劇中にもあった通りなんの娯楽もない田舎でずっと同じ人と接していて、みんな積もりに積もったストレスが暴発してあんな形になって表れたと考えればいいのかな。
最終的に相場くんが一番サイコだった訳だけど、野咲に火事場の父と妹の写真を見られて慌てて言い訳するのは違和感。
そこは落ち着き払って当たり前のように説明しないと。
警察より学校に縋り付く危機感の無い親御供にもツッコミが止まらなかった。
警察が無能じゃないとこの話は成立しなさそうだからいいけど。
だからそういう点を気にさせない勢いとテンションがあれば良かったのに…
文句たれてはいるけど、話そのものは先が気になり面白みがあるし、家族が殺されてからの野咲の覚醒とも言える殺戮シーンは全てかなり楽しい。
殺され方が一人一人違うバリエーションの豊かさも、多めの直接描写と傷の造形もとても好き。
そういえば放置されてたボウガンが最後あんなところで活躍するとは。セッティングしてくれて感謝だな。
一番好きなのは除雪車に巻き込まれる先生。
映画では気に触る点や描写の限界も漫画で読めば普通に面白いんだろうな。
三巻程度で完結みたいだし、原作の漫画を読んでみようかなと思った。
2018.12.29 一番怖いの人間ナイトにて再鑑賞 追記
原作読んでからの鑑賞で、初見時より楽しんで観られた。
しかし完全にノリきれないところは否めないけど。
中3にして逸材が揃いすぎてて笑う。
棒読み太っちょメガネ君が本当にクセ。コノマチニハゴラクガナイカラネー。ワクワクシテキタヨー。
みんな服装がダサすぎるのが過疎地っぽくて良い。
白と赤、雪に散る血液がとても綺麗だった。