「子どもが子どもでいられる空間」フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
子どもが子どもでいられる空間
この映画の何がいいかというと、どの親も決して子どもたちを虐待しないところ。
口が悪くて、いたずらが過ぎるクソガキたちが、あんなにいい表情で生活できているのは、子どもが子どもでいられる空間を、管理人のボビーをはじめ、周りの大人たちがちゃんと守っているからだろう。
入るだけでも高額な「夢の国」の隣にある、派手なペイントに彩られた安モーテル。だが、子どもたちにとっては、毎日がアトラクションのようだった。
出てくる大人たちは、過去に様々なアンラッキーが重なってここにいることを想像できる者ばかり。けれど、自分のイライラを、ヒステリックに子どもや弱い者に向けることはしない。
やり過ぎのいたずらに対しては、キチン責任は取らせるが、それすらも、どこか温かさとおおらかさが垣間見える。
つまり、彼らは、決して蔑まれる人々ではない。
もちろん、褒められない部分だってあるが、それは、金持ち連中だって変わりがないのだから。
最後の最後に、子どもたちの逃走先として、夢の国の内部が映し出される。
でも、これまで彼女たちが暮らしてきた現実の世界の方が、よっぽど眩しくかつ美しい。
夢の象徴だったはずのシンデレラ城のフィクション感にショックを受けた。
そうした逃げ場のない閉塞的な感じが、何とも言えない余韻を残す一作。
sow_miyaさん
こんにちは!たいへんな猛暑です、ご体調はいかがですか。
「フロリダ・プロジェクト」、素晴らしい映画でした。
わちゃわちゃしながら皆んなで人生を楽しんでいました。
そして子供たちのために本物の天国を用意してやらなくちゃいけないんだって、強く思わされました。
「アノーラ」でも書いたのですが、ウィレム・デフォーのような存在が現代の天使なのだと強く感じた次第です。
劇中、ムーニーがアイスクリームスタンドの店員に「LADY」と吐き捨てますよねぇ?あのムーニーの言い方だと「淑女」ではなく「おばさん」と訳されるのだと感心して笑った映画でした。
共感ありがとうございました、僕もsow_miyaさんのレビューに心から共感します。
ご自愛ください、
きりん