「折り重なる美しさと醜さ」ファントム・スレッド あしたさんの映画レビュー(感想・評価)
折り重なる美しさと醜さ
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ドレスの美しさと人間の醜さの丁寧な丁寧な重層構造。
美しいドレスを着た女性のワンカットだけで、観ているこちらも凄いものを見た!と思わせる画の説得力の凄さ。
何かを介さないと愛し合えない、わかり合えない、というのPTA作品の中で一貫して描かれているモチーフで、今回もバッチリでした。
今回はそれがドレスであり、母姉であり、死の疑似体験であった。
我々は孤独なんだ、コミュニケーション取れないものなのだ、という諦め、認識が自分に取ってリアルだし居心地が良いのだと改めて思った。
マザコン気質は今まで十分匂わせてきたPTAがいよいよ全開にしてきたのでこらぁ偉いこったと思ったね。
いつにも増してバランスがいびつなまま突っ走っているのも印象的だった。
常に劇音楽がなり続けていて、ある意味一直線のストーリーの補助線というか、退屈しないようになってるなー、と。
この映画がPTAのキャリアの中でどういう位置付けになるかちょっと今はわからないけど、パンチドランクドラブ的なあとから振り替えるとそのときの技術の集大成的な映画だったと、次に偉いの来たな、みたいな映画になることを期待。
男性性の後退、非アメリカ、というのは新境地かもしれない。
当然最高な映画体験だったことは間違いないです。
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