「避けられない分断」ザ・スクエア 思いやりの聖域 ゆーちさんの映画レビュー(感想・評価)
避けられない分断
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偶然なのでしょうか。
最近、評判の良い欧州映画を観ると、ほぼ必ず、民族、移民問題が背景として描かれているように思います。
移民を抱え、経済も右肩上がりではない社会の状況がまず息苦しいです。
税金で近代アートの美術館を運営できるのに、道にはたくさんの物乞い。
恵まれたエリートは夜遊びもしますが、場所は雑然としたナイトクラブ、下手すると薬物も入り込みそうな、あやしげな佇まい。
携帯を探しに行った移民の多いエリアでは、エコカーを止めているだけで車をからかわれる治安。
そして、知的エリートが集うはずの美術館。そこでの仕事も殺伐としています。一人一人が自分の任務しか見ていない。注目を集めるためになりふり構わぬ手段に出る広報と代理店、組織の保身を第一に考える理事たち、そして、自身の才能に寄りかかり好き勝手をする主人公のキュレーター。
唯一の希望は子供たち。抗議に現れた少年。主人公の二人の娘たち。彼らは全力で前を向いて生きています。最後の姉妹の行動と表情に観る価値があります。
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