「「フレンチアルプスで〜」のオストルント監督作品第二弾。 スウェーデ...」ザ・スクエア 思いやりの聖域 エミさんさんの映画レビュー(感想・評価)
「フレンチアルプスで〜」のオストルント監督作品第二弾。 スウェーデ...
「フレンチアルプスで〜」のオストルント監督作品第二弾。
スウェーデンにある前衛美術館が舞台。
大事な所で鳴る携帯だったり、響き続けるヘルプの声…。不快のオンパレードが続いたかと思いきや、貧困問題や群衆心理を風刺したハッとさせられるメタファーなメッセージが出てきたりもする。見て見ぬ振りをする『傍観者効果』をテーマにしたエピソードが次から次へと起こって実に痛い所を突いてくるのだ。
こういった構成も意味があるようで、よく練り上げられた脚本だからこそ伝わってくる。脚色だけでなく監督始め関係者が実体験したエピソードも色々、脚本に盛り込んで製作した作品だとのこと。
何だかすごい151分でした。
(´-`).。oO
映画冒頭で、主人公であるクリスティアンが街中で騒動に巻き込まれる。最初は傍観していたのだが、勇気を出して助けることにした。その結果、気付くと財布と携帯をすられてしまう。人助けをした仕打ちがこれじゃあんまりで、他人と関わるのが辛くなってしまうなぁ…なんて思ってたら、そしたら後のシーンで、「新しい美術館の企画なんだ」と、入り口が『人を信じる』『信じない』の2ヶ所に分かれた企画展のシーンが出てくるではないか!ウィット過ぎて思わず笑ってしまいました。
何か目の前で事件が起こった時に保守的になるのは防衛本能だから当然だと思う。「関わりたくない」「恥ずかしい」「怖い」といった感情は実に人間らしい。でも、その感情に勇気を出して勝ち越えられるのもまた人間の良いところ。『正義』なんて恥ずかしくて使いたくないけど、私は元々、正義なんてのは備わってるものじゃなくて、何かの目的が発生して初めて沸き上がってくるものなんだと思う。理想どおりに生きるよりも、人に寛容な生き方の方が難しい。だからこそ、それを意識するきっかけが必要なわけで、それをこの作品は教えてくれている。
正直、151分集中するのは辛い作品ですが、観終わった後の安堵感やシナリオの秀逸さ、そしてメッセージ性の深さは、是非、体験して欲しいです。シネフィルなら絶対、共有したい感情です(笑)。。