劇場公開日 2018年4月7日

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「犠牲になるのは子供」ラブレス コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0犠牲になるのは子供

2018年4月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

愛を持てない、心の欠損したロシアの夫婦を描いた作品。

自分だけが幸せになりたいというエゴにより、夫婦はともに相手を非難するばかり。
予告編にあったように、「あんな息子は要らない」と押し付け合い、「あの子が失敗の原因」と罵りあう夫婦=両親の喧嘩を聞いてしまった12歳の息子アレクセイは、声にならない嗚咽のあと、失踪してしまう。
事件の多いロシアでは警察が対応できず、ボランティアによる捜索が始まるが、その間も夫婦は喧嘩ばかり。

しょせん愛がない人たちなので、子供のことはそっちのけで新しい愛を求めて別のパートナーとそれぞれくっついていくが、そこでもやはり愛がない。
快楽を求めるセックスばかり。
(なんかこの作品、延々と喧嘩とセックスシーン、+で全裸、下着姿ばかりという印象)
「人は変わらないし、ダメな奴はどこまでもダメ」と突き放しつつ、「身勝手な人間の犠牲になるのは、良心を持った善なる人間である」という、強烈な批判が背骨のように作品を貫いている。
観てて心が痛くなった。

舞台はロシアだし、ロシア・ドイツ・フランス・ベルギーの共同制作であるが、長回しをはじめとする心象風景の「間」が、すごくフランス映画っぽかった。

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コージィ日本犬